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王道歩んだ犬飼貴丈 マルチに活躍できる俳優が目標

日経エンタテインメント!

ジュノン・ボーイとして芸能界デビューし、仮面ライダーの主役、朝ドラの出演と、俳優として「王道ルート」を歩んできたという犬飼貴丈。最近はひと癖ある役を演じることも増え、俳優としての幅を広げてきた。恩人との出会いを経て、芝居に熱を注ぐ犬飼が目指す俳優像とは。

1994年6月13日生まれ、徳島県出身。2014年に『碧の海~LONG SUMMER~』で俳優デビュー。近作に配信ドラマ『フォローされたら終わり』(ABEMA TV)、舞台『七転抜刀!戸塚宿』など(写真:中村嘉昭)

18歳の時に『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』でグランプリを受賞し、その2年後に俳優デビュー。2017年に『仮面ライダービルド』の主役に抜てきされ、19年には連続テレビ小説『なつぞら』に出演するなど、着実に実績を積み上げてきた犬飼貴丈。そんな彼が新たにつかんだチャンスが、全国公開の映画『ぐらんぶる』での竜星涼とのW主演の座だ。原作は、累計発行部数555万部突破の同名マンガ。このオファーに犬飼も「こんなに大きな映画で主演させていただく機会はない」と即決。しかし、同時に飛び込んできた役作りへの条件が、「泳げない犬飼がダイビングのライセンスを取得すること」、そして「作品では基本的に、常に裸」というものだった。

「昔からマンガやアニメが好きで、『いつか大きな原作ものの実写化作品に出たい』という目標があったんです。けれど、それは『キングダム』とかのカッコいい役をイメージしたもの。まさか主人公がほぼ裸なことで有名な『ぐらんぶる』でかなうとは…。想像の斜め上でしたね(笑)。

クランクインの日に初めて撮ったのが、女の子たちがたくさんいる教室から裸で飛び出してくるシーンだったんです。初っ端からいきなり裸だったので、僕ももうテンションが変になってしまって(笑)。今思えば監督やスタッフさんが、僕が振り切れるようにわざと最初に持ってきてくださったんでしょうね。おかげですんなり役に入ることができましたし、そこで監督が『好きにやっていいよ』と言ってくださったことで『あ、自発的にやっていい現場なんだな』と。うれしくもあり怖くもありましたけど、そこからは自分で考えた動きなども、どんどんチャレンジさせていただきました」

懸念していたダイビングのライセンスも無事に取得。現場では竜星らと共にスタントなしでダイビングシーンを撮影しつつ、「無駄にイケメンなアニメオタク」という役の設定に忠実に従った熱演を繰り出していった。

「文化祭で僕の演じる耕平が自分のイケメンぶりを発揮するシーンがあったので、時々、無駄にイケボで話す、いわゆる"フリ"の部分を作っていたんです。そうすることで、文化祭で見せるギャップをより発揮できればいいなと考えました。一応僕、ジュノン・ボーイ出身なので。ジュノンさんにも、ちゃんと貢献しないと(笑)。でも文化祭のシーンを撮り終わった後にマネジャーさんから『犬飼くんがジュノン・ボーイだったのを思い出した』と言われ、『逆に、今までどういう感じでマネジメントしてたんですか!?』って(笑)。

これまでの僕は、負の感情を持つ役を演じることの方が多くて。次は、にこやかで楽しそうな役も演じてみたいと話していたんです。でも、まさかそれを軽く飛び越えた役が来るとは思っていなくて。だって『仮面ライダー』の主役を張って、朝ドラにも出演させていただいて…『あ、このまま王道ルートかな?』って(笑)。でも、ある時から、癖の強い役が多くなってきて、しまいには今回、スッポンポンでお酒を飲んで走り回るという…『あれ? このルートだったんだ?』みたいな。ただ意外な角度からガツンと衝撃的な役を演じることで"そういうこともできる"姿を見せられる場が与えられたのは、ありがたいです」

演じることへの熱が言葉の端々からにじみ出るが、そんな彼にも「役者を辞めたい」と考えた時期がある。その気持ちを大きく変える転機になったのが、『仮面ライダービルド』だったそうだ。

出会いと経験を重ねて

(写真:中村嘉昭)

「デビューしてからドラマにもコンスタントに出させていただきましたが、がっつりお芝居をして世間の皆さまに長時間見ていただけるような活動はできていなくて。『ビルド』のオーディションを受けながら、『もうこれでダメだったら俳優の道を諦めよう』と考えていました。そんななかで『ビルド』では主演という大役に就かせていただき、お芝居のイロハも監督が一から教えてくださって。

この作品をきっかけにバラエティやイベントなどにも出させていただき、大勢の方の前でお話をする機会も得ました。本当に数え切れないほどのことを経験させていただいた『ビルド』の現場は、今の僕の大きな礎になっています」

また犬飼にとって、なくてはならない存在が水田伸生監督だ。

「『ビルド』の次が『獣になれない私たち』(18年)という、水田さんが監督を務められていたドラマでした。仮面ライダーの現場を1年ちょっと体験してから普通のドラマに入るのは、言うなれば大学を卒業して就職するような感覚に近いんです。『やっていけるのかな』という漠然とした不安を抱えながら撮影に入ったんですけど、水田監督は優しくアドバイスしてくださり、ダメなところもしっかりと指摘してくださって。1人の役者として"認めてくれた"瞬間をくださったと感じています。新たなスタートが水田監督の現場で、本当に良かったなと思いました。

また、水田監督には今年の舞台『七転抜刀!戸塚宿』でもお世話になりまして。僕にとっては初めての本格舞台でした。ここでもコメディ面を中心に、たくさんのことを勉強させていただきましたし、本当に素敵な方に出会えたなと思います。節目の作品に必ず水田監督が関わられているということに、ご縁を感じますね」

同じ事務所の先輩である三浦翔平や小池徹平、ウエンツ瑛士らの背中を見てきたことから、今後は演技以外に仕事の幅を広げていくことも念頭に置いている。

「僕も自然に『いろんなジャンルで活躍できる人になれれば』という目標を立てていました。そのための準備を今しているところです。その1つには、音楽も。学生の頃からコピーバンドを組んでライブをしていたくらいに歌が好きだったので、できればいいなという思いがあります。お芝居だけじゃない活動ができたほうが強みになるでしょうし、それがまた芝居にも還元されていくと思っています」

(ライター 松木智恵)

[日経エンタテインメント! 2020年9月号の記事を再構成]

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