GoogleとOracle、著作権めぐり米最高裁で対決

2020/10/8 11:49
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グーグルとオラクルの著作権をめぐる訴訟は米最高裁に舞台を移した=AP

グーグルとオラクルの著作権をめぐる訴訟は米最高裁に舞台を移した=AP

グーグルとオラクルの米IT(情報技術)大手が著作権をめぐり10年にわたって繰り広げてきた大型訴訟が、米連邦最高裁判所に舞台を移した。2021年夏ごろに出る判決によってはグーグルはソフトウエア開発での対価の支払いを求められる可能性がある。米議会などが独占などでIT大手への批判の目を強めるなかでの訴訟は業界関係者の注目をにわかに集めている。

「金庫を壊すことは、ほしいと思うお金を手に入れるための唯一の方法かもしれない。しかし、だからといってそれが許されるというわけではない」――。7日に最高裁がオンラインで開いた1回目の口頭弁論でロバーツ最高裁長官は今回の事件を"金庫破り"にたとえ、著作権侵害はなかったと主張するグーグル側の弁護団に疑問を投げかけた。

グーグルは08年に提供を始めたスマートフォン向けの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を開発する際に、オラクルが権利を持つプログラミング言語「Java(ジャバ)」のコードから約1万1000行を同社の承諾なく組み込んだ。当時主流だったJavaのコードをそのまま使えば、数多くのソフトウエア開発者がアンドロイド用アプリを開発しやすくなるためだ。

オラクルはこの行為が知的財産の侵害にあたると主張し、10年にグーグルを相手取って損害賠償を求める訴訟を起こした。その額は少なくとも約90億ドル(約1兆円)に上ると主張している。グーグルは一審で勝利したものの、控訴審で覆された。今回はグーグルによる上訴が認められ、米最高裁による審理が始まった。

グーグルはもしオラクルのコードに著作権が認められるとしても、自らの流用については権利を侵害しない「フェアユース(公正利用)」にあたると主張している。問題となったコードはソフトウエア同士をつなげて情報をやりとりする「API」と呼ぶ基盤技術に関するものであり、もし特定の企業が著作権を盾に第三者による使用を制限すれば、競争が著しく阻害されてしまうというのがグーグル側の主張だ。

オラクルはJavaのAPIはアプリ開発者が自由に利用できるとしており、仮に最高裁が同社の著作権を認める判断を下したとしても、直ちにソフト産業の商慣行に影響を及ぼすものではないと説明している。ただし、オラクルはアンドロイドのようなOSにJavaのコードを組み込むにはライセンスが必要だとして、グーグルに対価の支払いを求めている。

7日の口頭弁論に出席した8人の最高裁判事の意見は分かれた。リベラル派のソトマイヨール判事は、グーグルが使ったのは「Javaのコードの1%未満だ」と擁護する姿勢を示した一方、トランプ米大統領が17年に任命したゴーサッチ判事は「米アップルや米マイクロソフトはこの手のコピーに頼ることなく、うまく動作する携帯電話を考え出した」と指摘した。

IT業界の巨人同士の法廷闘争は、米産業界も二分している。マイクロソフトやIBMは既存のコードを修正したり拡張したりできなくなれば革新的な開発が危うくなるなどとして、グーグルを支持する意見書を最高裁に提出している。一方、厳格な著作権保護を求める映画産業の業界団体はオラクルに味方している。

米IT業界はオラクルが勝利した場合、広く普及している技術を握る企業がより強くなると懸念している。一方で、かつては挑戦者だったグーグルがモバイルOS市場で約7割超の世界シェアを握る今になって、競争促進を盾に自らを弁護することにも批判がある。

トランプ米政権は9月に死去したギンズバーグ最高裁判事の後任に保守派のバレット氏を指名し、11月3日の大統領選投票日前に上院の承認を取り付け、速やかに空席を埋める考えを示している。バレット氏が承認されると、最高裁判事9人のうち6人が共和党の価値観に近い保守派になるとみられている。

オラクルの共同創業者の一人であるラリー・エリソン氏はトランプ氏に近いとされ、米政権は最高裁に対しオラクル支持を表明している。グーグルとオラクルの「10年戦争」の行方は、大統領選もからんだ最高裁人事の影響を大きく受けることになる。

(シリコンバレー=白石武志)

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