米副大統領候補、コロナ対応・中国で論戦 テレビ討論会

【ワシントン=中村亮】米大統領選は7日夜(日本時間8日午前)、副大統領候補によるテレビ討論会を開いた。共和党で現職のマイク・ペンス副大統領(61)と民主党候補のカマラ・ハリス上院議員(55)が新型コロナウイルスへの対応や中国政策をめぐり論戦を繰り広げた。
討論会は西部ユタ州ソルトレークシティーのユタ大学で開き、米紙USAトゥデーのワシントン支局長、スーザン・ページ氏が司会者を務めた。

ハリス氏はトランプ政権のコロナ対応について「我が国の歴史上のいかなる政権と比べても最大の失敗だ」と断じた。コロナによる死者が米国で20万人を超え、雇用情勢も悪化していると指摘した。ペンス氏は「トランプ氏は米国民の健康を最優先にしてきた」と反論。中国からの入国制限を早期に実施したと指摘し、民主党の大統領候補のバイデン前副大統領(77)は制限に反対していたと主張した。
バイデン氏の対中国政策をめぐり、ペンス氏は「中国に対する経済面での降伏を復活させようとしている」「彼は数十年にわたって中国共産党のチアリーダーだ」と酷評した。ハリス氏はトランプ政権下の米中貿易戦争によって米国の製造業の雇用が減ったと指摘し「あなたは貿易戦争に敗れた」と断じた。ペンス氏は「バイデン氏は戦いもしなかった」と応じた。
トランプ政権が連邦最高裁判所判事に保守派エイミー・バレット氏を指名したことに関してハリス氏は、低所得者に医療保険加入を促す制度が廃止になると主張した。民主党のリベラル派には最高裁の保守色を薄めるため判事を増員すべきだとの意見がある。ペンス氏は「米国民は明確な回答を求めている」と、ハリス氏の立場を複数回問い詰めたがハリス氏は最後まで答えなかった。
共和党で現職のトランプ大統領(74)がコロナ感染で一時入院したことで、有事の際に大統領の代役を務める副大統領への関心は一段と高まっている。討論会では「大統領が職務を継続できない場合の対応を議論しているか」との質問が出たが、ペンス氏とハリス氏はともに質問に直接答えず、議論が煮詰まらなかった。
ハリス氏はペンス氏が話を遮ると「私が話しています」「最後まで話してもいいですか」と応じた。9月末の大統領候補によるテレビ討論会はトランプ氏が論戦を相次いで妨害したことを踏まえ、ペンス氏も討論会のルールを軽視していると印象づける狙いがある。
壇上には討論する両候補の間に透明な仕切りを設けた。口からのしぶきによるコロナ感染を防ぐ目的だが、専門家からは効果は薄いとの見方が出ている。両候補は12フィート(約3.7メートル)離れ、冒頭に握手をしなかった。
会場内で聴衆はマスク着用が義務付けられ、従わないと退場を求められるルールだった。ただペンス氏の妻、カレン氏は討論終了後にマスクを着用せずに壇上にあがった。
大統領選は15日にトランプ氏とバイデン氏による第2回のテレビ討論会を予定しているが、トランプ氏のコロナ感染で開催が不透明になっている。