バイデン氏がリード拡大 賭けサイト、上院も民主優位

【ニューヨーク=後藤達也】賭けサイトで、米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利するとの予想が増えている。トランプ大統領の新型コロナウイルスの感染を機に差が拡大。賭けの参加者が見込むバイデン氏の勝利確率は60%台半ばで、候補に決まって以降で最大となった。上下両院も民主党が制するとの見方も多い。
賭けサイトのプレディクトイットによると、7日のバイデン氏のレートは67セント。当たれば1ドルもらえる仕組みだ。運営側の手数料などを差し引くと、65%程度の確率でバイデン氏が勝つと予想されていることになる。9月中は50セント台後半で推移していたがトランプ氏の感染後に急上昇。トランプ氏が5日に退院してからも上昇した。トランプ氏は9月に40セント台半ばだったが、足元では37セントだ。
トランプ氏のほか、ホワイトハウスの側近でコロナ感染が相次いでいる。これまでの危機管理を疑問視する声があるほか、選挙戦にも支障が出ている。6日にはトランプ氏が民主党との経済交渉を選挙後まで中断すると表明したことも影響した可能性がある。トランプ氏の感染への「同情票」や退院が再選に追い風につながるとの見方は少ないようだ。
民主党が上下院の両方を制するとの見方も強まっている。民主党が下院の過半議席を獲得するシナリオのレートは89セント。現在共和党が過半を握る上院でも、民主党勝利のレートは67セントだ。ともに大統領のレートと同様、10月に入り上昇した。
バイデン氏が当選し、上下院とも民主党が多数を占めれば、政権基盤は安定する。協議が難航している経済政策も円滑に承認が進みやすくなる。

ただ、4年前の大統領選では世論調査や賭けサイトの予想に反してトランプ氏が当選した。接戦州の支持者の動向は依然として読みづらい。トランプ氏の回復状況や今後の討論会などでレートも大きく変動する可能性がある。郵便投票の扱いを巡り、トランプ氏とバイデン氏は対立しており、最終的な結果はなお不透明だ。
金融市場では世論調査よりも賭けサイトの数値を重視する傾向がある。世論調査は聞き取る相手が偏る恐れがある一方、賭けサイトは幅広い人が身銭を切って勝利確率を予想する。日々取引されているので時系列の比較もしやすい。金融市場では10月に入り、バイデン氏の勝利を織り込む動きが出ている。米国債の金利は将来の財政出動拡大や景気回復を期待し、長期金利が上昇している。
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