ノーベル賞「ゲノム編集」 日本人研究者が貢献
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ゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」の基礎となった遺伝子配列「クリスパー」を見つけた九州大の石野良純教授は7日夜に記者会見し「うれしく思っているし、興奮している。2人に心からお祝い申し上げたい」と喜んだ。
石野教授はクリスパーを発見し、1987年に論文を発表した。「最初に発見したときは機能が何も分からなかった」とし「あまりにもきれいな繰り返し配列で間違いなく何かあるなと思った」と振り返った。
受賞した2人には「こういう技術を生み出してくださってありがたい」と感謝。「クリスパーが人類に役立つ技術開発につながり評価されたのは非常にうれしい」と述べた。
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石野教授は「クリスパーを自分で解明できなかったのは残念ではあるが、その後に選んだ研究テーマも私自身で決めてやってきたことなので満足している。なぜこっち(クリスパー)をやらなかったのかという後悔はない」とも語った。
受賞するジェニファー・ダウドナ教授とは一緒に食事をしたこともあるという。「非常に楽しい方。(私を)クリスパー発見者ということでリスペクトしてくれているように感じた」と話した。
■クリスパー・キャス9とは 狙った場所でDNAを切断する技術のこと。キャス9と呼ぶDNAを切断する酵素と、切断したい場所の遺伝子配列を含む分子を細胞に入れると、この分子とぴったり合う部位でDNAが切れる。特定の遺伝子の機能を失わせたり、切断した場所に新たな遺伝子を挿入したりする。自然界では細菌がクリスパーと呼ぶ特殊な遺伝子配列とキャス9を用いウイルスなどのDNAを切断し、感染から身を守っている。