/

新型コロナ感染防ぐ抗体医薬品 福島医大、開発目指す

福島県立医科大学(福島市)が新型コロナウイルスの感染を防ぐ抗体を利用した医薬品を開発している。微量の血液を使う独自の解析技術を応用し、効果の高い抗体を効率的に見つけ出す。喉などに噴霧するスプレータイプの予防薬の製品化につながる可能性もあるという。

最大で3万点の抗原を載せることができる「マイクロアレイ」。1点の直径は80マイクロメートル=福島県立医大提供

研究開発は、県立医大医療・産業トランスレーショナルリサーチ(TR)センターの高木基樹教授らが手掛ける。計画では、コロナ感染から回復した人の血液をサンプルとして採取。年内をメドに、より感染防止効果の高い抗体を見極め、その抗体を生み出す細胞の遺伝子取得を見込む。

抗体医薬品はウイルスなどが人の細胞とくっつくのを未然に防ぐ「中和抗体」の機能を利用してつくる。県立医大によると、2019年5月時点で日米欧で70品目超が承認されている。多くはがん治療向けで、感染症向けはほとんどない。

高木教授によると、新型コロナ向けの抗体医薬品は、世界中で開発が進むワクチンより高い効果が期待できる。ワクチン接種により体内で作られる抗体の量や質には個人差があり、人によっては全く抗体ができない可能性もあるためだ。

研究開発には独自の解析技術を使う。新型コロナの抗原を載せたスライドガラス(縦26ミリ、横76ミリ)「マイクロアレイ」に微量の血液を滴下し、血液中の抗体の反応を検出する。複数の回復者の血液から、最も強く反応する抗体を探す。同時に副作用の有無も調べることができるという。

中和抗体を作る遺伝子取得後は、外部機関でこの遺伝子を使った抗体の大量生産を目指す。今後の研究では大阪大学や医薬基盤研究所(大阪府茨木市)との連携も視野に入れる。製品化は製薬会社と協業する。

今回開発を目指すのは気道の粘膜や唾液などに多く含まれる「IgA抗体」を使った医薬品。血中に多く含まれる「IgG抗体」が体内に侵入したウイルスを捉えるのに対し、IgA抗体は主にウイルスの外部からの侵入を防ぐ機能を担う。

このためIgA抗体は治療薬のほか、喉などの粘膜に吹き付けるスプレー式の予防薬開発につながる期待もある。ただ、抗体作製に手間がかかり、製品化に向けては量産コストをいかに抑えるかが課題になる。

県立医大は回復者に血液提供を呼びかけている。採血は大学付属病院(福島市)と東都クリニック(東京・千代田)で受け付ける。目標は100人で、これまでに30人以上が応じた。感染歴がある日本サッカー協会の田嶋幸三会長も協力した。

県立医大のTRセンターは12年、医薬品関連産業の振興などを目的に設立。関与したベンチャー企業は18年以降に3社生まれている。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

新型コロナ

新型コロナウイルスによる肺炎が中国から世界に拡大しています。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。

治療薬 休業・補償 ビジネス 国内 海外 感染状況

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン