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被害証言に付き添い犬同伴 虐待事件公判で異例許可

虐待を受けた子どもの刑事裁判を巡り、関東地方の地方裁判所が、被害を証言する子どもの精神的負担を減らすため、公判への付き添い犬の同伴を許可していたことが、関係者への取材で分かった。裁判関係者によると、精神的負担の軽減を目的とした動物の同伴許可は異例という。

「付添犬」の認定前に適性確認を受けるゴールデンレトリバーのハッシュ(2017年10月)=日本介助犬協会提供・共同

子どもが被害者となった事件では、司法手続きでつらい体験を話すことへのストレスが指摘され、負担軽減の取り組みとして注目される。入廷したのは専門機関で訓練を受け、「付添犬」として認定を受けた犬。国内では4頭が活動している。

関係者によると、許可されたのは10代の女児に虐待行為をしたとして、男が児童福祉法違反の罪で起訴された事件。女児は7月、心のケアのため触れ合いを続けていたゴールデンレトリバーを伴って入廷。当初は出廷自体を怖がっていたが、犬の同伴が許可されたことで証言を決心した。約1時間半の尋問の間、終始付き添い犬を足元に連れていたという。

女児側は精神状態を示す上申書や、出廷することで心的外傷後ストレス障害(PTSD)が悪化する恐れがあるとの担当医の意見書を裁判所に提出。裁判所は、付き添い犬とともに女児の聴取を数回繰り返した検察官からの申し出や民間団体による訓練記録も踏まえ、同伴入廷を許可した。

司法手続きでの子どもの負担軽減を巡っては、厚生労働省や最高検は2015年、証言回数を減らすため、児童相談所と警察、検察の三者が連携し、被害内容を聞き取る「協同面接」の導入を求める通知を自治体や検察に出した。一方、子どもが法廷で証言する際の軽減負担の取り組みは進んでいない。

女児ら虐待を受けた子どもを支援する団体は「法廷で証言する子どもの負担軽減に付き添い犬が有効と分かった。制度化してほしい」と話した。〔共同〕

心の傷、ふれあいでケア 高額費用が課題


 虐待を受けた子どものケアに付き添い犬との触れ合いを生かす取り組みは各方面で始まっている。増加する需要を受け、民間団体の育成に期待が高まるが、高額の費用など普及には課題も残る。
 「子どもの表情が明るくなる」。虐待を受けた子どもを支援するNPO法人「神奈川子ども支援センターつなっぐ」の飛田桂弁護士(38)は触れ合いの効果をこう語る。
 飛田弁護士は6~7月、児童相談所が保護していた子ども3人が付き添い犬3頭と触れ合える機会をつくった。どれも公益社団法人「日本動物病院協会」に適性を認められたり、社会福祉法人「日本介助犬協会」の訓練を受けたりしている。
 3頭のうち、裁判所で女児の証言に付き添ったのは6歳の雄のゴールデンレトリバー、ハッシュ。法廷で小さないびきをかいて寝ていたハッシュの姿に女児は緊張が和らいだといい、その後「いてくれて良かった」と振り返ったという。
 日本介助犬協会によると、子どものケアをする「付添犬」の育成には1頭あたり最大250万円の費用がかかる。より多く育成したいが予算が足りず、クラウドファンディングで資金を集めている。
 活動を支援する帝京科学大の山本真理子講師(介在動物学)は「虐待を受けて人を信用できなくなった子どもは、ただ寄り添ってくれる付き添い犬を信頼し安心感を抱く。それが心の負担軽減になる」と効果を話した。〔共同〕

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