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NEC、海外でフィンテック スイスの金融ソフト買収

アバロク買収を説明するNECの新野社長

NECは5日、スイスの金融ソフト大手アバロクを傘下に所有する持ち株会社を約20億5千万スイスフラン(約2360億円)で買収すると発表した。NECにとっては過去最大の買収案件となる。買収を通じて海外の金融関連事業へ本格的に進出する狙いがある。

NECはNTTから出資を受け入れ、高速通信規格「5G」の通信インフラを共同開発して世界市場に打って出る方針だ。通信に加えてシステム分野でも海外展開を目指す姿勢を鮮明にした。

アバロクは売上高が約6億1千万スイスフラン(約700億円)のソフト会社だ。NECによれば金融資産管理向けソフトで欧州シェア1位、アジア太平洋地域でシェア2位の実績があるという。世界30カ国で150以上の企業を顧客に持っており、銀行の勘定系システムなども手掛ける。21年4月までに買収を完了する予定だ。

「世界で金融事業領域に本格参入する。まずはNECの強みとシナジー効果を出しやすい金融資産管理分野から手がける」。NECの新野隆社長はアバロク買収の意味を、こう強調した。

一方で、アバロクは18年と19年の2期連続で赤字だった。これについてNECの山品正勝常務は「一時的なコストが重なったが、デューデリジェンス(資産査定)の結果、今期は黒字になる見通しだ」と説明した。

NECは自社の技術でアバロクの事業をさらに拡大できるとみている。主要技術は生体認証だ。アバロクの製品やサービスを導入している金融機関にNECの生体認証技術を売り込む。このほかアバロクの製品やサービスにNECのデータ分析技術やブロックチェーン(分散型台帳)技術などを組み合わせ、新たな付加価値やサービスを顧客に提供するという。

アバロク製品の世界的な拡販も狙う。日本を含むアジア太平洋地域と米国はNECが担当する。過去に買収したデンマークのIT企業、KMDホールディングを通じて北欧地域でもアバロク製品を展開する方針だ。

NECはここ数年、海外IT企業の買収を進めている。18年から19年の間に英ノースゲート・パブリック・サービシズ(NPS)とKMDを買収した。いずれも中央政府など公共団体向けシステム開発を手掛ける。NPSは英国でロンドン警視庁の犯罪時間管理システムを受注するなどの実績を上げているという。

欧州などでは個人認証の国民IDが日本よりも普及しており、行政と金融のサービス連携が進む。アバロク買収による金融事業への進出は、公共分野の事業とも親和性が高いとNECはみる。

通信とシステムという「二本柱」での海外展開の成否に、NECの将来がかかっている。

(矢口竜太郎)

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