NY市、「限定封鎖」で経済への打撃緩和狙う

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2020/10/5 20:00 (2020/10/5 21:19更新)
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段階的な経済再開の中、感染者が増えている(4日、ニューヨーク市ブルックリン)=AP

段階的な経済再開の中、感染者が増えている(4日、ニューヨーク市ブルックリン)=AP

【ニューヨーク=後藤達也】米ニューヨーク市は4日、新型コロナウイルスの感染再拡大を防ぐため、区域を絞った「限定封鎖」に乗り出すと表明した。規制の区域を絞るのは外食産業などサービス消費の回復が鈍い中で、全市レベルの封鎖は経済や生活への打撃が大きいためだ。感染防止と経済再開のバランスに苦心している。

世界の都市は、コロナの感染再拡大を受けた対象を絞った規制の再導入に動く。パリ市は6日から全てのバーを閉鎖するほか、レストランの営業により厳しいルールを課す。南仏マルセイユでも感染拡大が著しいとして、5日まで約1週間飲食店を閉鎖した。

全米最大のニューヨーク市は3~4月に爆発的に感染者が増え、深刻な危機を経験した。ニューヨーク・タイムズによると、累計で25万人が感染し、2万4千人近くが死亡した。

3月下旬から厳しい経済封鎖を続け、感染者数は減少に向かった。6月以降、段階的に経済を再開させる中でも感染者数の増加を抑えてきたが、9月中旬から一部の地区で感染者が再び増え始めた。

今回の「部分封鎖」は検査の陽性率が1週間平均で基準値の3%を超えた高い区域を郵便番号で指定し規制をかける。学校閉鎖や、病院や食品スーパーなどを除く営業停止に再び踏み切る。

ブルックリンやクイーンズの一部地区が対象となるが、外出の自粛までは求めていない。レストランの持ち帰り営業も認める。ニューヨーク州のクオモ知事の承認を得たうえで、7日から実施する。

ニューヨーク州の1日あたりの感染者は足元では1000人強。9月半ばから増えているとはいえ、4月のピーク時(1日1万人程度)を大きく下回る。

スペインの首都マドリードでは9月21日に一部で実施した外出制限を10月に入り、全域に拡大した。人口密度の高い都市は感染が広がりやすい。再度の大規模封鎖や制限措置を回避するためにも、ニューヨークの市・州当局はリスクの芽を早めに摘もうとしている。

広い範囲で経済活動を規制すれば、外食や小売りなどの打撃が大きく、倒産や失業が急増するおそれがある。米国では7月末に失業保険の上乗せ給付が失効しており、働き手の不安は大きい。今回、陽性率の低い中心部マンハッタンは規制の対象から外すなど経済への影響も配慮した。

ニューヨーク市は9月30日にレストランの店内飲食を制限付きで解禁したばかりだ。10月以降は急速に気温が下がるため、店外での飲食や持ち帰りだけでは十分な売り上げが見込めない。

「再び規制がかかると家賃を払う余裕すらなくなる」。マンハッタンでレストランを経営する男性は訴える。ニューヨークのレストラン業界によると、状況次第で来年1月までに3分の2の店舗が倒産するという。

全米レベルでみてもサービス消費の回復は鈍い。米ハーバード大などが運営するオポチュニティー・インサイツは全米のクレジットカードの利用状況を日次で集計している。9月の外食・ホテルの支出は1月と比べ3割弱少ない。交通や娯楽はおよそ半減している。生活必需品や自動車の消費は回復しているが、サービス業界は厳しい状況が続く。

米国では、与党・共和党が知事の州でトランプ大統領と同様に経済再開を優先する傾向が強い。フロリダ州は9月下旬にレストランやバーの全面再開を決定。テキサス州も新規感染者が7月よりも減ってきたことを踏まえ、小売店やレストランの人数制限を緩和した。

COVIDトラッキングプロジェクトによると米国の新規感染の判明者数(7日移動平均)は直近で4万3千人程度。ピークの7月下旬(6万6千人程度)より少ないものの9月半ばから増加傾向にある。

米雇用統計によれば9月時点の雇用者数は2月と比べ、依然として1000万人強も少ない。外食や宿泊、娯楽などの失業問題は深刻だ。失業期間が長引くと、再就職の機会が狭まる恐れがある。経済だけでなく、治安の悪化など国民生活も脅かしかねない。

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