7空港の運営期間延長を検討、北海道エアポート

インバウンド
2020/10/5 19:00
保存
共有
印刷
その他

新千歳空港では国際線の旅客ゼロの状況が続く(5日、新千歳空港国際線ターミナル)

新千歳空港では国際線の旅客ゼロの状況が続く(5日、新千歳空港国際線ターミナル)

新千歳空港(北海道千歳市)など北海道7空港を経営する北海道エアポート(同市、HAP)は2020年度から30年間の運営期間を延長する検討に入った。新型コロナウイルス危機で国際線は止まったままで、25年度までの投資額(約1000億円)を半減させて急場をしのぐ。

HAPは三菱地所や日本政策投資銀行など17社が出資する共同出資会社で、21年春までに7空港を完全民営化する。19年に国と結んだ契約では、規定上は運営期間を最大5年間延長できる。新型コロナ危機の長期化を受け、コロナ後の空港ビジネスで得られる収益を見込んだ長期的な経営計画を軌道修正する。

20年度から5年間の中期計画では当初、7空港への設備投資として計約1000億円を投じる予定だった。これを500億円以下に縮小し、残りは25年度以降に先送りする。当初計画は急増するインバウンド(訪日客)需要による成長を前提としていたが、新型コロナで事実上の入国拒否が続き、国内外の路線の運休・減便は続いている。

国際線は新千歳で3月中旬以降、旅客ゼロが続く。回復の見通しはなく、HAPは現時点で国際線が新型コロナ拡大前の水準に回復するまでには5年以上かかるとみている。先手必勝を目指す色彩が濃かった投資を回復後まで繰り延べする。

5年間で予定していた投資額1000億円のうち、7空港に利用者を呼び込む施設の新設などにあてる「活性化投資」は当初の3分の1以下となる200億円未満にとどめる。先送りするのは国際線関連の施設やインフラの新設・拡充に充てるものが大半だ。

既存設備の更新や改修にかかる「機能維持投資」も、当初予定の400億円から300億円前後に抑える方向で調整している。滑走路や誘導灯の維持管理など航空機の安全な運航に欠かせない設備への投資は予定通りだが、大規模投資が避けられない空港ターミナルビルの更新などはせずに最小限にとどめる。

5年間の投資総額の6割にあたる592億円を投じる計画だった新千歳では、335億円を計画していた活性化投資を3割以下の100億円未満に抑える。国内線ターミナルビルの改修などにとどめ、新設予定のビジネスジェット専用ターミナルや国内線と国際線の共用ビルの建設などは先送りする。機能維持にかかると見込んでいた257億円も圧縮する。

10月から滑走路や駐機場の管理・運営を始めた旭川空港(東神楽町、旭川市)を含む地方6空港でも、国際線関連の投資は延期が相次ぎそうだ。免税店の入る商業施設の増築や国際線ターミナルビルの改修が先送り対象で、新たな投資計画は21年1月頃に国に提出し、公表する。

投資の先送りは新型コロナによる緊急避難の意味合いが強く、運営期間内に予定している総投資額(4250億円)は変更しない。ただ新型コロナ危機からの回復には時間がかかりそうで、当初の30年計画で投資を上回る収益を上げるのは難しくなってきた。1月に7空港を引き継いだばかりのHAPの経営に早くも試練が訪れている。

(塩崎健太郎)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]