需給マイナス4.8%、11年ぶり水準 日銀4~6月推計

経済
2020/10/5 22:00
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4~6月期は政府が緊急事態宣言を出し、飲食店などの休業が相次いだ

4~6月期は政府が緊急事態宣言を出し、飲食店などの休業が相次いだ

日銀は5日、日本経済全体の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」の4~6月期の推計がマイナス4.83%だったと発表した。リーマン危機後の09年4~6月期(マイナス5.53%)以来、11年ぶりのマイナス幅となった。

需要不足を意味するマイナス圏に沈むのは、2016年7~9月期(マイナス0.16%)以来3年9カ月ぶり。内閣府の需給ギャップは直近の1~3月期ですでにマイナス2.4%と2四半期連続でマイナスとなっている。国内総生産(GDP)から算出する内閣府と異なり、就業率や設備の稼働状況から計算する日銀でも需要が供給力を下回る結果になった。

内訳を見ると、工場などの稼働状況を含む「資本投入ギャップ」はマイナス2.70%、労働時間や就業率を反映する「労働投入ギャップ」はマイナス2.14%と、ともに大きなマイナスとなった。労働投入ギャップは09年4~6月期(マイナス1.48%)を超え、さかのぼれる1983年以降で過去最大のマイナス幅となった。

4~6月期は政府が緊急事態宣言を出すなど、新型コロナウイルスにより経済活動が大きく停滞した時期にあたる。飲食や宿泊といった店舗の休業や営業制限で労働時間が急激に減り、休業者や失業者も増えた。生産調整のため工場稼働率が低下したことも影響した。

日銀は7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、当面の需給ギャップについて「感染症の影響による失業率の上昇や労働時間の減少、資本稼働率の低下などからはっきりと悪化し、大きめのマイナスで推移する」としていた。

日本経済の最大の焦点は雇用だ。現状は残業やパートタイムといった労働時間の減少が先行している。雇用の維持が企業にとっても政府にとっても重い課題だ。雇用や賃金への不安は消費を抑制する要因にもなる。

経済再開に向けた動きは出ているが「戻りは遅い」(みずほ証券の上野泰也氏)との見方が多い。1日に日銀が公表した全国企業短期経済観測調査(短観)では、製造業・非製造業とも先行きの業況判断指数(DI)はマイナス圏で推移する。

賃金の下落が続き、個人消費が伸びないと、物価は上がりにくくなる。日銀は13年から「物価2%目標」を掲げ大規模緩和を実施してきたが達成は道半ばだ。野村総合研究所の木内登英氏は「需要不足の状態は当面続き、今後2~3年は物価はマイナスで推移するだろう」とみる。

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