エアアジアが12月に日本撤退 国内航空、コロナ禍で初

2020/10/5 17:51 (2020/10/5 22:11更新)
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格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパン(愛知県常滑市)は5日、12月5日で全4路線を廃止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う航空需要の急減で資金繰りが悪化し、事業継続を断念した。新型コロナの影響による国内の航空会社の事業撤退は初の事例となる。経営基盤の弱いLCCの淘汰が進む可能性がある。

撤退で従業員も解雇される

撤退で従業員も解雇される

エアアジア・ジャパンは同日、全路線の廃止を国土交通省に届け出た。社員は一部を除き11月4日付で解雇する。運休する便の料金を既に入金した顧客には全額返金する方針だ。

エアアジア・ジャパンは11年にマレーシアが本社の東南アジア最大のLCC、エアアジアと全日本空輸(現ANAホールディングス)とが合弁して発足。13年の提携解消で一度日本から撤退した。

その後、日本市場を有望視していたエアアジアのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)が楽天などから共同出資を受け、14年に再参入した。中部国際空港を本拠地にする唯一の航空会社で、新型コロナの流行前までは国内線は札幌便や仙台便、国際線は台北便の3路線を運航していた。

新型コロナの流行が広がった20年4月から全便を運休し、8月に福岡便の新規就航を含めて復便した。ただ利用が想定より回復せず、10月から再び全便運休となっていた。6月以降に希望退職を募り約300人の従業員のうち2割に当たる70人弱が応じたが、需要の急減に対応しきれなかった。会田純最高執行責任者(COO)は5日、「あらゆる施策を講じてきたが苦渋の決断をせざるを得なかった」とコメントした。

エアアジア・ジャパンの経営基盤作りは途上だった。保有機材はリースで3機にとどまり、採算確保が難しかった。19年12月期は売上高(約40億円)を上回る約47億円の最終赤字を計上していた。11年に発足した国内最大手ピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)の約40路線に比べ、規模が小さい。ある関係者は「新型コロナ前は20年内にも保有機数を5機まで増やす見通しが立っていた。そうなれば黒字化も見えていた」と話す。

当局の許認可や安全整備も含めた運航体制の構築に時間がかかり、就航は17年と当初計画より2年遅れた。路線網の拡充が進まず想定した成長軌道に乗せられなかった。

LCCは満席で飛ばし稼働を高めることで運航コストを下げ、安い運賃で集客するビジネスモデルが一般的だ。損益分岐点となる搭乗率が、大手の5~6割に対しLCCは8割程度とされる。売り上げ確保は喫緊の課題だ。

日本航空(JAL)傘下の新LCC、ジップエア・トーキョーは9月、成田―ソウルに貨物専用便を就航させた。将来的に旅客が回復した時の足がかりとする。貨物運賃はコロナ前の1.5~2倍と高水準で、貨物単体でも採算が取れる。

ピーチ・アビエーションは7月に国内線全便を再開し8月に成田―釧路、宮崎線を新規就航させた。国際線も10月に台北線の運航を再開する。部分的な往来の回復を受けた需要の取り込みを目指す。

ただ新型コロナの世界的な感染は続く。国際線を中心に一連の取り組みがどこまで売り上げの回復につながるか、効果は依然として見通しにくい。

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