How to「Go To イート」 手順は2種類、注意点も
知っ得・お金のトリセツ(26)

10月からコロナ禍で苦しむ外食業の支援策「Go To イート」が始まった。先輩格の「Go To トラベル」ほどではないが全体像はやや複雑で注意点もある。英語的にはビミョーだが「How to Go To イート」をまとめてみよう。
2種類の「イート」がある
Go To イートはコロナで重大な影響を受けた飲食店や食材供給を担う農林漁業者の支援を目的に税金を投入して国民に外食を促すキャンペーンだ。方法は(1)プレミアム付き食事券(2)オンライン予約でポイント付与の2種類に分かれる。
食事券は都道府県ごとに発行し域内の登録店でのみ利用可能。例えば1万円で1万2500円分の食事券が購入できるので25%のプレミアムが付く設計だ。新潟県が全国に先駆けて5日に販売を開始、順次11月ごろまでには47都道府県で始まる。販売期間は来年1月末までで有効期限は同3月末までだ。
食事券は都道府県ごとにバラバラ
仕様も入手法も都道府県ごとに異なる。共通するのは500円券や1000円券があってお釣りは出ないこと、1回の購入上限は2万円で原則本人が利用することなどだ。
逆にそれ以外はバラバラ。1万円単位でなく4000円で5000円分の食事券を販売する県があったり、他県からの旅行者が買えるところがある一方、対象を住民に限定し抽選で配布する例もある。LINEによる電子食事券を採用する自治体もある。販売場所は商工会議所や郵便局、コンビニなどが想定されている。
予算がなくなり次第販売終了するのは共通だが、全体で767億円の予算をどの都道府県にどれだけ配分するかは自治体の申し込みベース。人口比で多額のところも少額のところもある。別に全貌を理解する必要はなく自分の地元の要項だけ分かればいいとはいえ、なぜこうもバラバラなのか……。
オンライン予約は13事業者のサイトから
さらに加わるのが(2)の飲食店の予約サイトを使う方法だ。「ぐるなび」や「食べログ」など登録した13事業者の15サイト経由で予約をし来店、飲食後に支払いをすると次回以降同じサイト内で使えるポイントがもらえる。
付与額はランチ(午後3時まで)の利用で500円、ディナー(午後3時以降)で1000円分だ。1回の付与額の上限は10人分1万円。ポイントは予約者に付くので今年の忘年会は幹事志願者が増えるに違いない。こちらも期限と予算は食事券と同じ。来年1月末までの飲食にポイントが付きその消化期限は来年3月末。767億円の予算(食事券とは別枠)がなくなり次第終了だ。

1人当たりの利用上限がないのでネット上では「無限ループ」と呼ばれる複数回の利用も取り沙汰される。例えば500円など少額の飲食でも1000円分のポイントがもらえる設計なので何度も繰り返して実質無料で飲食が可能になる。手間暇を惜しまない個人の労賃といえなくもないが、キャンペーンの趣旨に照らして「問題があれば実態をみて改善する」(農林水産省)という。
求められる感染症対策の徹底
参加する飲食店は食事券方式、オンライン予約方式ともに事前の登録が必要。その時に消毒や換気、席間の距離などガイドラインに沿った感染防止対策の徹底が求められ、場合によっては抜き打ちのチェックもあるという。カラオケ店や接待を伴う飲食店はもともと対象外だ。お得に加えて飲食関連業界を応援するという大義は大事だが、会食を介した感染例は決して少なくない。一人ひとりが十分に注意しながら参加したい。

1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

1993年入社のアラフィフ。キャッチフレーズは「1円単位の節約から兆円単位のマーケットまで」。証券部を軸足に日経ヴェリタスやテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」、マネー報道部など一貫してお金周りの記事の執筆・編集・番組制作に携わってきました。ただ、多忙を口実にタクシーを多用するなど自分のお金管理は杜撰。人生100年時代を見据え、蓄えた知識を実践に落とし込んで成果を発信するのが今年の目標です。現職は編集委員 兼 マネー・エディターカバージャンル
経歴
活動実績
2023年3月28日
日経・金融庁主催「FIN/SUM 2023」のパネル「人生100年時代に"シン個人"と社会を豊かにする デジタルで進化・加速する信託銀行ビジネス」でモデレーターを担当
2023年1月9日
東洋大学経済学部の科目「日経メガトレンド」で「2100年の人生100年」をテーマに講義
2022年12月19日
「NIKKEIマネーのまなび」Youtubeライブ「利上げ、値上げ、賃上げ? どうなる2023年のマーケットと家計」に出演
2022年10月19日
日経バーチャル・グローバルフォーラム「動き出す国際金融ハブ・日本」でパネル討論「新たな金融都市像を探る」の司会を担当
2022年10月18日
「NIKKEIマネーのまなび」Youtubeライブ「全員iDeCp時代のお悩み解消!あなたの疑問に答えます」に出演
2022年8月7日
「日経お金の教室 夏の金融経済教育セミナー」のセッション「今を取り巻く金融経済教育」でモデレーター
2022年7月27日
「金融広報中央委員会(知るぽると)創立70周年記念対談 俳優・鈴木梨央 × 日銀副総裁・若田部昌澄『18歳成年に必要な金融知識』」でモデレーター
2022年1月11日
東洋大学経済学部の科目「日経メガトレンド」で「人生100年時代の生活設計」を講義
2021年12月9日
「日経SDGsフェス 資産運用会社の未来像を考えるプロジェクト シンポジウム」登壇
2021年9月24日
日経読者向けセミナーで「日経STUDYUMウェビナー ここに注目!これからの資産形成」講演
2021年6月30日
神戸・姫路日経懇話会で「人生100年時代の完走法」講演
2021年6月23日
日経LIVE「マネーの世界 なるほどポンッ! いつから? いくら? 積立投資のすべて」出演
2021年5月20日
保健・医療・福祉サービス研究会の月刊誌「Visionと戦略 2021年6月号」でインタビュー掲載
2020年12月18日
福岡日経懇話会で「100年ランの走り方 これからの資産管理術」講演
2020年12月15日~
日経電子版ニュースをひとこと解説する「日経Think!」のエキスパート(投稿者)を担当
2020年11月30日
YouTube「NIKKEIマネーのまなび」チャンネル出演。社労士の井戸美枝氏と「将来もらえる年金を2000万円増やす方法」対談
2020年11月21日
日経ウーマノミクス・プロジェクトのオンラインセミナー「ジブン流資産形成、はじめませんか」登壇
2020年8月17~21日
日経CNBCの夏休み特別企画「天引きから始めよう」出演
2020年2月18日
日経CNBC「昼エクスプレス」スペシャルトーク出演
2020年2月7日
香川日経懇話会で「人生100年時代に備える資産形成」講演
2020年1月7日
日経CNBC「昼エクスプレス」スペシャルトーク出演
2019年4月~
電子版有料会員向けニューズレター「NIKKEI Briefing」で執筆メンバーの1人として毎週水曜発信「Women’s Insights」を担当。最新作:人生100年 気になる2つの50%(2020年2月5日)
2019年4月~
BSテレ東「日経プラス10」に解説キャスターとして出演中
共著に「資産運用大全」「定年ですよ」「これからの人生お金に困らない本」など
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