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苦境レバノン、ガス田開発急ぐ イスラエルと海上境界協議へ

【カイロ=久門武史】レバノンとイスラエルが10月中旬、海上の境界画定に向けた協議に入る見通しになった。経済の苦境にあえぐレバノンは東地中海の天然ガス開発を急いでおり、境界が画定できれば事業化に一歩近づくとの期待がある。

イスラエルのメディアによると直接対話は30年ぶりで、仲介役の米国は歓迎するが、国交のない両国の協議がすんなり進むかは不透明だ。

協議の枠組みで合意した1日、レバノンのアウン大統領は「米側が公平な仲介を続けるよう望む」と表明した。協議は12日からの週に南部ナクラの国連施設で開かれるという。ポンペオ米国務長官は「レバノンとイスラエルの市民に安定と繁栄をもたらす可能性を秘める」と強調した。トランプ米政権の外交成果としてアピールする思惑も透ける。

レバノンは2018年、地中海沖合の2鉱区の開発へ向け、仏トタル、イタリア炭化水素公社(ENI)、ロシアのノバテクの企業連合と契約を結んだ。このうち1鉱区の一部はイスラエルも権利を主張しており、掘削に着手できずにいる。

東地中海では近年、天然ガス資源発見が相次ぐ。イスラエルやキプロスの沖合で大規模なガス田が見つかり、出遅れたトルコも昨年、探査に乗り出した。

レバノンでのガス生産・輸出が軌道に乗れば外貨を獲得できる。シェンカー米国務次官補は1日「レバノンは天然資源開発で大いに恩恵を受け、現在の経済問題を好転させられる」と指摘した。

3月に初めての国債の債務不履行(デフォルト)を起こしたレバノンは公的債務が国内総生産(GDP)の170%に膨らみ、通貨急落で市民生活が苦境に陥っている。

8月には首都ベイルートで大規模な爆発事故があり、ディアブ前内閣が総辞職した。後継首相に指名された前駐独大使は9月末に組閣を断念し、レバノンへの国際的な支援は遅れている。

イスラエルはアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンと9月に国交を正常化しており、レバノンとの対話が関係改善につながれば安心感は増す。ただ境界画定は資源権益と直結するため、双方とも譲歩の余地は乏しそうだ。両国は国交がなく、陸上の国境さえも画定していない。

互いへの不信感は根強い。1982年にはイスラエルがレバノンに侵攻した。レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラは2006年にイスラエルに越境し、大規模な交戦に発展した。

3年にわたり両国を仲介してきた米国も、親イランで、レバノン政治に強い影響力を持つヒズボラへのけん制を緩める気配はない。ヒズボラを支援したとしてレバノンの元閣僚に制裁をかけるなど圧力を保っている。ヒズボラがイスラエルとの合意に横やりを入れる懸念もある。

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