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2連覇狙う原巨人、積極トレードでチーム力底上げ

2020/10/6 3:00
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原監督(左)率いる巨人は積極的な選手の入れ替えで戦力強化に成功。右は6月に移籍してきたウィーラー=共同

原監督(左)率いる巨人は積極的な選手の入れ替えで戦力強化に成功。右は6月に移籍してきたウィーラー=共同

プロ野球のセ・リーグ2連覇に向けて首位を快走する巨人が、積極的な選手の入れ替えで戦力強化に成功している。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、例年より遅くなった9月30日の期限までに、4件のトレードを敢行。獲得した選手を適材適所で起用する戦術が、独走態勢を築く一つの要因となっている。

6月19日の開幕以降に公示されたトレード全6件のうち、4件に巨人が関わった。楽天との間では3件のトレードで合意。6月に池田駿とゼラス・ウィーラー、7月に高田萌生(ほうせい)と高梨雄平の交換トレードが成立したほか、9月末には捕手の田中貴也が金銭で楽天に移籍した。

9月にはかつての抑え、沢村拓一をロッテに出して24歳の内野手、香月一也を獲得するトレードを成立させた。ドラフト1位で入団し、2016年には37セーブで最多セーブに輝いた右腕と、ロッテ在籍6シーズンで47試合しか1軍出場していない若手との交換。今季の沢村は2軍暮らしが長く、香月がチームに希少な左のパワーヒッターであることを差し引いても、一般的には不釣り合いに映るトレードだった。

150キロを優に超える剛球を持つ沢村だが、近年の1軍マウンドでは独り相撲で制球を乱し、自滅する投球内容が目立っていた。原辰徳監督は新天地に送り出すにあたり「非常に思い出深い選手。求められたというところが、彼にとって素晴らしいこと。ステップアップの材料にして、ロッテで飛躍することを願う」と語った。

トレードで出した選手が移籍先で活躍すれば、編成の失敗との責任論が浮上する。巨人でも一昔前は、2軍でくすぶっている有望な選手を囲い込んだままのケースもあった。だが、今季は原監督の下、周囲の批判の声を恐れず「飼い殺しはしない」という方針で移籍に積極的だ。1軍公式戦に出場可能な支配下選手の上限は70人。そのベストな布陣を常に求めて選手を循環させ、望んで獲得した人材を「即戦力」としてフィールドに送り込んでいる。

楽天から移籍した高梨は、勝ちパターンに欠かせない救援投手として好成績を残している=共同

楽天から移籍した高梨は、勝ちパターンに欠かせない救援投手として好成績を残している=共同

18年には70試合に登板しながら今季は開幕1軍入りを逃していた高梨は、7月15日の巨人移籍後、着実に評価を上げて、今や勝ちパターンに欠かせない救援陣の一人だ。

変則フォームからシュート、スライダーを駆使する横手投げ左腕は右打者にも強い。対左のワンポイント起用ではなく、1イニングを任されることも多く、31試合に登板して1勝2セーブ15ホールド、防御率0.64(4日現在)と大きな存在感を示している。

ウィーラーは左翼も一塁も守れるユーティリティープレーヤーで、ベンチからの信頼が厚い。米大リーグ通算1312安打を放ち、昨季はナショナルズでワールドシリーズ制覇を経験した新加入のヘラルド・パーラが現在は右膝の故障で2軍調整中。その穴埋めを十分にしているほか、試合途中に一塁に回ってベテラン中島宏之の守備の負担を軽減するなど、チーム内で多岐にわたって"潤滑油"の役割を果たしている。

左翼も一塁も守れるウィーラーは、ムードメーカーの役割も果たしている=共同

左翼も一塁も守れるウィーラーは、ムードメーカーの役割も果たしている=共同

闘争心を前面に出し、常に全力プレーを怠らない姿で、ムードメーカーとしてもベンチに勢いを与える。途中出場した9月29日の広島戦(マツダスタジアム)は、4点リードの七回1死満塁の守りでビッグプレーをみせた。

代打アレハンドロ・メヒアの放った一塁線への痛烈なゴロを横っ跳びで好捕。すぐさま起き上がると、一塁を踏みながら本塁へストライクの送球をして、タッチアウトでの併殺を完成させた。直前に味方の失策で広げたピンチ。右翼線へ抜けて2者が生還していれば、試合の流れが相手に渡る場面だった。

マウンドにいた、楽天でも同僚だった高梨を救うとともに、チームも救って勝利を呼び込む超美技。ガッツポーズをしながら満面の笑みでベンチに戻ったウィーラーは、チームメートから「今年一のプレーだったよ」と声をかけられ「そうだろ、そうだろ」とうなずいた。

原監督は他球団で厚遇されなかった選手を重用して弱点を埋め、首位独走へとつなげている。沢村と引き換えに獲得した香月についても「類いまれな才能を持っている。ジャイアンツで開花させたい」と話したとおり、1軍に呼んで3試合に出し、2打席に立たせた。

フリーエージェント(FA)移籍による大型補強に頼りがちだった時代とは異なる手法で、分厚い選手層をつくり上げている今季の巨人。あの手この手でチーム強化を図ろうとする原監督の動きから、今後も目が離せない。

(常広文太)

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