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ラグビーW杯、熱気を再び スポンサーが盛り上げ役

2019年のワールドカップ(W杯)の盛り上がりから一転、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でラグビー日本代表の試合がなくなった。W杯から1年となる今、当時の熱気をつなげようと代表のスポンサーが工夫を凝らしている。

「日本代表は時々緊張すると分かっていたから、我々が勝てると思っていた。でもチャンスを生かし切れなかった」。ロシア代表のユーリ・クシュナレフがW杯の開幕戦を回想した。日本の具智元(ホンダ)も1年前の心境を振り返る。「自分はリザーブ(控え)だったけれど頭が真っ白になるくらい緊張した。ベンチで緊張したのは初めて」

三菱地所が9月20日に開いた「オンライントークラグビー世界大会2020」。W杯の日本戦などを出場選手がオンラインで振り返る全6回のイベントである。「代表戦がなくなったのは残念だが、こういう時こそ熱を高め続けないといけない」。同社ビル営業部兼ラグビーマーケティング室の高田晋作さんは狙いを語る。

日本代表と同様、W杯で成功を収めたのが大会スポンサーの三菱地所だった。スポーツに協賛する国内企業の水準を大幅に上回るPR費を用意し、東京・丸の内で「丸の内15丁目」と題した複合的なキャンペーンを展開した。

著名な芸術家らに楕円球をテーマにした作品を依頼する。関西のラグビー発祥の地、京都・下鴨神社の末社から分祀(ぶんし)を受けた神社を設立する……。ユニークな催しも当たり、大会後の日本代表のパレードには約5万人が参加。同社のCMの好感度も大幅に上がった。

同社は4月、日本代表のスポンサーとして4年契約を締結。しかし、コロナ禍が計画を狂わせた。代表は6~7月に予定していたイングランド戦など3試合が中止となり、11月の欧州遠征も取りやめとなった。

同社は予定していたパブリックビューイングの代わりとなるイベントに注力している。オンラインでのトークショーに加え、9月にはがんの治療・研究を支援する活動「deleteC(デリート・シー)」への寄付を行った。「これからも年に数回、選手と一緒に社会貢献活動をしていきたい」と高田さんは話す。

トークイベントでは豪華なゲストを招く。日本が8強入りを決めたスコットランド戦から1年となる10月13日には、スコットランド代表の元主将、グレイグ・レイドロー(NTTコミュニケーションズ)が参加。20日は日本の準々決勝の相手、南アフリカのマルコム・マークス(クボタ)が出席し、11月8日の最終回は決勝を戦ったイングランド代表監督のエディー・ジョーンズ氏が雄弁を振るう。

23年W杯フランス大会の前には10万人の壮行会で代表を送り出し、凱旋するチームをオンラインを含めて100万人で祝福するという大きな目標もある。「あと3年でラグビーをさらに盛り上げたい」と高田さんは意気込む。

W杯メンバーがラグビーゲームで対戦

代表の最上位スポンサー「トップパートナー」に就任した大正製薬も試合の代わりのイベントを支援した。8月に開かれた「eリポビタンDチャレンジカップ」。W杯メンバーの流大(サントリー)と姫野和樹(トヨタ自動車)がラグビーゲームで対戦。「流ジャパン」がラストプレーで逆転する劇的な展開もあり、試合の動画は約6万回視聴された。

代表にジャージーなどを提供するカンタベリーオブニュージーランドジャパン(東京・新宿)も10月20日までW杯を振り返るキャンペーンを実施中。代表グッズを着用した写真を「#あれから1年」などのハッシュタグを付けてSNS(交流サイト)に投稿した人に抽選でプレゼントを贈る。

おきて破りの「助っ人」も現れた。W杯の公式マスコットだった「レンジー」が8月、日本ラグビー協会のマスコットに"転身"。代表のイベントなどで活躍する。レンジーは歌舞伎の「連獅子」をモチーフにした親子のマスコット。日本協会によると、新たなマスコットの制作も検討したが、ファンの支持を集めるのは簡単ではないためレンジーの力を借りることにした。

著作権の問題があるため、スポーツ大会のマスコットが別の形で活躍することは難しい。協会はレンジーの権利を持つ国際統括団体ワールドラグビーと交渉、権利を借り受けることに成功した。「こうしたケースは聞いたことがない」と協会関係者。見納めだったはずのレンジーの「毛振り」を目にして、W杯の熱気を思い返すファンも多いだろう。

(谷口誠)

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