英EU両首脳、通商交渉を継続
【ロンドン=中島裕介】英国のジョンソン首相と欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は3日の電話協議で、自由貿易協定(FTA)などの将来関係を巡る交渉を続けることで一致した。合意に向けて双方の首席交渉官に集中協議に入るよう指示した。15日のEU首脳会議までに両者の溝が埋まるかどうかが焦点になる。

3日の電話協議後の共同声明では、交渉について「この数週間で進展があった」と評価した。ただ交渉が始まって以来の対立点だった「英海域での漁業権」や「公正な競争環境の確保」、「紛争処理などのガバナンス」の分野で大きな溝が残っていると指摘した。英側のフロスト首席交渉官は3日、「5日の週のできるだけ早期に協議を再開する」とツイートした。
交渉を巡ってはジョンソン英首相がEU首脳会議がある15日までに合意できなければ交渉を打ち切り、「FTAなし」を決断すると表明していた。2日に終わった交渉官級の交渉はその期限前の最終協議だったが、対立点は解消していなかった。注目された3日の首脳間協議では交渉決裂は回避し、なお合意を目指すことで一致した。
ただ現状では両者とも相手の譲歩を求めており、合意に向けた機運は高まっていない。
ジョンソン氏は3日の英BBCなどの取材に、FTA合意を望んでいるとする一方で、合意に至るかどうかは「私たちの(交渉の)相手次第だ」と強調した。一方のフォンデアライエン氏も2日の記者会見で「合意は大切だが、あらゆる犠牲を払ってもというわけではない」と指摘した。
1月末にEUを離脱した英国は、離脱の移行期間が終わる年末までのEUとの合意を目指している。交渉がまとまらなければ、急な関税の復活などで双方の経済に大きな打撃となる懸念がある。