仏、自宅での義務教育禁止へ イスラム過激思想排除
【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領は2日、同国でイスラムの過激思想が広まっていると述べ、子どもが学校の代わりに自宅で義務教育を受けることを原則認めないと表明した。不適切な教育を施す保護者がいるためだと説明した。過激思想に厳しい姿勢をみせることで、右派層の支持を得る狙いがある。

マクロン氏は記者会見で「我々が戦うのは『イスラム分離主義』だ」と語った。男女平等、政教分離などを軽視する考え方を分離主義と呼び、問題視した。イスラム教徒を批判しているわけではないとも強調した。
健康上の理由を除き、2021年9月からは学校などの教育施設での教育を義務づける。12月に法案を閣議決定し、早期の成立を目指す。
フランスの義務教育は3歳から。これまでは手続きを踏めば自宅で義務教育相当の教育を施すことを認めており、仏国内で約5万人の子供が該当する。
近年、男児と女児の水泳の授業を分けてほしいと主張したり、お互いに握手しないよう求めたりする親がいるとして、右派層を中心に危機感を抱く人が出ていた。
22年の次期仏大統領選を控え、マクロン氏は主にキリスト教徒の有権者層の歓心を買おうとしているとの見方もある。