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米失業率7.9% 追加経済対策遅れ、失業第2波リスクも

(更新)
米オクラホマ州で失業手当についての相談を待つ人たち(7月)=AP

【ワシントン=河浪武史】米労働省が2日発表した9月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、失業率が前月から0.5ポイント下がって7.9%となり、5カ月連続で改善した。景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数も、前月から66万1千人増えた。ただ、追加経済対策の発動の遅れで、レジャー産業や航空業などには「失業第2波」のリスクもある。

新型コロナウイルスによる経済封鎖で、米失業率は4月に戦後最悪の14.7%まで上昇した。米連邦準備理事会(FRB)は6月時点で、10~12月期の失業率を9.3%と予測していたが、最新見通しでは7.6%まで引き下げた。雇用回復は当初想定より速いスピードで進む。市場予測は失業率が8.2%だった。

就業者数の増加幅は市場予測(85万人)より少なかった。8月の就業者数の伸び(148万9000人)から大きく減速。背景にあるのが労働参加率の低下だ。61.4%と前月から0.3ポイントも下がった。1年前の19年9月(63.2%)と比べると約2ポイントも低下した。

就業をあきらめて労働市場から退出した生活者が多いことを示している。こうした生活者は失業率に加算されず「隠れた失業者」となる。学校の完全再開の遅れで子供らの世話が必要になり、職場復帰できない労働者も少なくない。

業種別でみると、飲食業が前月から20万人増えた。全米の飲食店の客足は4月にほぼゼロ%まで落ち込んだが、9月には6割前後まで回復し、職場復帰が進んでいる。小売業も営業再開で就業者数が同14万人増加した。

ただ、9月の失業者数は1258万人となお高水準だ。ピークの4月(2300万人)から減少したものの、コロナ危機前は500万人台だった。危機前の失業率は3%台で、FRBは雇用の完全回復が23年以降までずれ込むと懸念する。4月の雇用統計では、失業者の78%が早期の職場復帰が可能な「一時解雇」だったが、9月は36.7%まで下がって長期失業のリスクも高まる。

米連邦議会は追加経済対策の発動を検討してきたが、関連法案の成立が遅れている。下院は1日、民主党主導で2.2兆ドルの新型コロナ対策を可決したが、超党派での合意は失敗。共和党が多数派の上院では通過のメドが立たず、11月の大統領選・議会選前の財政出動は困難になってきた。

ホワイトハウスや共和党が大型の経済対策に慎重なのは、もともと「小さな政府」や「自助努力」を党是とし、選挙前に支持層の財政保守派に配慮する必要があるからだ。選挙の勝敗を左右する激戦州でも、雇用が大きく持ち直しており、政権や共和党の危機感を弱める原因になっている。

経済対策の失効による「財政の崖」は全米の雇用回復の足かせとなる。9月30日には航空会社の雇用維持策が一部失効。大手各社は10月以降、数万人単位の人員カットを余儀なくされかねない。コロナ危機は消費行動を大きく変えており、米ウォルト・ディズニーは9月29日、米国内のテーマパークで働く従業員のうち2万8千人削減すると決定した。

米商務省が1日発表した個人消費支出統計によると、8月の個人所得は前月比2.7%も減少した。経済対策の失効で失業給付の積み増しが一時的に失われたためだ。「財政の崖」は米経済に長期停滞の懸念をもたらしており、前倒しで進んだ雇用回復に水を差しかねない。

米経済は4~6月期の成長率が前期比年率換算でマイナス31.4%と急落した。ただ、その後は持ち直し、JPモルガン・チェースは7~9月期の成長率を同プラス33%と見込む。問題は10~12月期の伸びだが、同社は同2.5%に鈍化すると予測し、国内総生産(GDP)は前年同期より3%も小さい水準にとどまるとみる。

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