インバウンド復活、「安堵感」がカギ 関西経済白書

シンクタンクのアジア太平洋研究所(大阪市)は5日、2020年版の「関西経済白書」を発表した。新型コロナウイルスの影響が長期化する中でも、インバウンド(訪日外国人)は関西経済にとって基幹産業だと指摘。衛生対策など「安心・安全」を徹底した上で外国人目線を取り入れてインフラを整備し、「安堵感」を演出することが重要と強調した。
インバウンド消費については、訪日客の消失は長びき「今後も損失は増加する」と分析した。一方、現状について「これまでの施策と成果を振り返る絶好のタイミング」と指摘。「タクシーの呼び方が分からない」「禁煙エリアが分かりづらい」など、外国人にとっての不安を解消するような環境整備を加速すべきだと強調した。
関西は対中輸出の依存度が高いが、コロナの影響で中国で最終製品の生産が停止。電子部品などの輸出が激減し影響が広がったとして「グローバルサプライチェーンの脆弱性を冷静に検討する必要がある」とした。
白書の編集後、同研究所は関西の実質域内総生産(GRP)の20年度の見通しについて、マイナス5.2%成長と0.1ポイント下方修正した。全国の実質国内総生産(GDP)のマイナス5.9%よりは落ち込み幅は小さいが、個人消費や設備投資の低迷が長びき、コロナ前の水準に戻るのは22年度以降になるとしている。