ジールスとHIS、スマホ完結の接客システム
チャットボット・ビデオ通話を併用

チャットボット(自動応答システム)を提供するジールス(東京・品川)はエイチ・アイ・エス(HIS)と組み、チャットや販売員とのビデオ通話を組み合わせた接客システムを開発した。店舗に行かずともスマートフォン上で旅行の予約が一気通貫でできる。新型コロナウイルスの感染拡大で、来店を敬遠する客もいることから、デジタルの活用で満足度の高い接客を提供する。
ジールスのシステムとHISの接客を組み合わせたサービスの提供を実験的に始めた。利用者はHISのスマホ向けなどのサイトで気になる旅行商品を閲覧。LINEなどを通じてチャットボットで簡単な問い合わせができる。
チャットボットは24時間対応する。ジールスはこれまでチャットボットシステムを約300社に提供し計300万人以上に利用してもらった実績がある。チャットボットで得られた会話データを蓄積しており、精度の高い自動応答システムを提供できる。
よりきめ細かな対応を求める人向けには、普段店舗で接客をしている旅行案内のプロが「ビデオ接客」を通じて接客できるようにする。その場で予約まで完了できる。
旅行会社は新型コロナの感染拡大が顕著になった4月から店舗の一時休業に踏み切った。旅行商品の販売も4~5月は前年比で9割以上減った。政府の需要喚起策「Go Toトラベル」で需要は回復しつつあるが、店舗まで出向いて接客を受けるスタイルを敬遠する人が多い。「対面や直接のコミュニケーションを伴う接客を受けたいとという人は多く、消費者は店舗に出向くことは減っても企業とのコミュニケーションを求めている」(ジールス)とみる。
旅行店など接客を伴う店舗はコロナを契機に店舗数の削減に乗り出しているが、消費者との接点を維持することも不可欠だ。ビデオ通話などのシステムを活用すれば、接客員の在宅勤務など働き方の多様化も期待できる。ジールスはHIS以外の企業との協業も深め、現在300万人超の利用者数を2年以内に1000万人に引き上げる計画だ。
ジールスは2014年の設立。ロボットの技術をLINEやフェイスブックメッセンジャーなどのチャットボットに応用した自社サービスを手掛けてきた。

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