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政治家の名刺、ネット上で高値売買 悪用の懸念も

フリマアプリでは、菅首相ら政治家の名刺の出品が相次いでいる

フリーマーケットアプリやオークションサイトで、著名な政治家の名刺が売買されている。1枚あたり1万円超で出品される名刺が多く、菅義偉首相の名刺では約2万円で売買が成立した例もあった。政治家との「面識」を手に入れるためのようだが、専門家は転売後の悪用を懸念する。

「政治家のパーティーで本人から直接もらいました。お譲りします」。フリマアプリでは、こんな売り文句とともに政治家の名刺がずらりと並ぶ。安価なものなら1枚500円ほど。状態にもよるが、安倍晋三前首相、小泉進次郎環境相など特に著名な政治家は、1万円を超える価格で買い手がつく。

中でも出品数で突出しているのが菅首相。7年8カ月に及んだ官房長官時代の名刺が多いが、中には就任から日の浅い「内閣総理大臣」名義のものもある。出品者は「まだ出回っていないものです」とプレミアム感をアピールし、約2万円で売買が成立したものもあった。

「メルカリ」では個人情報を含む出品を禁じており、違反の一例として名刺を挙げている。ただ運営会社によると、メールアドレスや携帯電話番号など、直接本人にひもづく情報が書かれていなければ、規約違反には当たらないという。

ネットオークションサイト「ヤフオク!」の担当者も「記載内容や配布対象などをもとに個別に判断する」と説明。名前や肩書などしか書かれていない場合は、出品削除の対象とならないケースも多いようだ。

なぜ、高額な代金を支払ってまで名刺を手に入れようとするのか。

閣僚経験者の秘書は「いきなり事務所を訪問してきた有権者に、閣僚の名刺を要求されることも少なくない」と明かす。名刺を手に入れれば、実際に会っていなくても面識があると思わせることができる。「名刺を見せて周囲への信用を高めるのが目的ではないか」と話す。

関西大の池内裕美教授(社会心理学)も著名政治家の名刺について「社会的地位の高さを演出する効果は極めて高い」と分析する。「第三者に誇示して自尊心を高めるのに使うのかもしれないが、出品される名刺は本物とは限らず、だまされるリスクにも留意すべきだ」と強調した。

売買された名刺が悪用される危険性を指摘する声も上がる。立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「著名な政治家の名刺が詐欺犯などの手に渡れば、名刺交換したと言って人を信頼させることができる」と懸念。「犯罪者にとっては、たった1枚の紙が有力な『武器』になりうる。むやみに売買するのはやめてほしい」と呼びかけている。

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