/

東証、情報開示に遅れ 投資家への説明も不足

東京証券取引所が1日、取引情報を配信するシステムで障害を起こし、初めて株式売買を終日停止した。東証は過去にもトラブルを起こしたことがあるが、今回は情報開示が遅れ、個人投資家らへの説明が不足した面がある。初動段階での危機管理を問う声が強まる可能性がある。

東証は今回、一般投資家らへの情報開示の遅れが目立った。午前7時すぎにハードウエアの故障を検知し、午前8時1分には取引参加者である証券会社に障害について通知したものの、全銘柄の売買停止を個人など一般投資家向けに公に発表したのは午前8時39分ごろ。それもホームページ(HP)にアップしたのみだった。

障害の原因も、当初は「相場報道システムに問題がある」と伝えるのみで詳細な説明を避けた。原因について一部でも公表すれば、一般投資家が取引再開の見通しなどを判断する材料になり得たが、「不明確な情報を伝えるのは適当ではない」とし、午後4時半からの記者会見まで具体的な説明を引き延ばした。

東証はこの間、取引参加者である証券会社とは意見交換を続け、情報をやり取りしていた。東証と証券会社はシステムでつながっており証券会社に対する詳細な説明は当然必要だが、個人投資家からは「いつ再開するのかなど、追加的な情報がなく、戸惑っている」などの声が聞かれた。

1日の記者会見で東証の宮原幸一郎社長は「原因究明に時間を費やした。速やかに情報発信をしてきたつもりだが、遅かったとの指摘は重く受け止めたい」と述べた。

金融庁の幹部は「市場が1日停止したというのは重大な事態だ。あしたの取引再開を見届けるまでは油断できない」と語った。

政府・与党内からも厳しい意見が出た。自民党の下村博文政調会長は「投資家の取引機会が制限され誠に遺憾だ」とコメント。河野太郎行政改革・規制改革相は日本経済新聞などのインタビューで「デジタル化、オンライン化は利便性と安全性が裏表。100%の安全性がないなら、いかに復元力を高めるか考えないといけない」と語った。

政府が国際金融都市構想を掲げる中、東証のシステム障害は市場の信頼を損ねかねない。2022年をめざす東証の市場構造改革にも暗雲が垂れこめる。海外の機関投資家からの投資を呼び込むため、22年に市場1部、2部など4つある市場区分を3つに再編する改革を控える。安定した取引を支えるシステムは幅広い投資家を呼び込むうえで大前提となる。

東証は05年11月にプログラムミスによるシステム障害で売買を半日停止させた。12月にもシステムの欠陥でみずほ証券の発注ミスを取り消せず、再度、障害を起こした。いずれもバックアップ機能が働かなかった。

06年1月には旧ライブドア株の売買が急増した際に処理能力が追いつかず、自主的に全銘柄の売買を停止。最近では18年にも株式売買のシステム障害が発生。メリルリンチ日本証券が東証に大量のデータを誤送信したことで異常が起こり一時的に取引できなくなった。

東証売買停止

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン