埼玉県、家畜・果実盗難対策に本腰 防犯強化呼びかけ

埼玉
2020/10/1 19:16
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埼玉県内の農家から家畜や梨などの果実が盗まれる事件が相次ぎ、生産者に不安が広がっている。盗難は収益に痛手となるだけでなく、農場に感染症ウイルスが持ち込まれる恐れもあるため、県も事態を重視。施錠や監視カメラ設置など防犯対策の強化を農家に呼びかけたほか、市町にも協力を要請している。

県内の果実農園では盗難防止のため編み目が小さいネットや防犯カメラなどを設置するところもある

県内の果実農園では盗難防止のため編み目が小さいネットや防犯カメラなどを設置するところもある

行田市では7月下旬に子豚の頭数検査の実施後、9月上旬に改めて検査したところ130頭(325万円相当)がいなくなっていることが判明した。下旬には春日部市でヤギ8頭が盗まれる事件も発生。事件を早めに把握して周辺への被害拡大を抑えるため、県畜産安全課は飼育頭数をこまめに確認することを呼び掛けている。

同課は6~8月にかけて栃木県や群馬県で家畜の盗難が多発したことを受け、8月下旬から家畜保健衛生所を通じて県内の畜産農家に注意喚起の通知をしてきた。行田市での被害もあり、これまで4回にわたって防犯対策などを文書や電話で農家に知らせている。通知文書には農場の出入り口や畜舎の施錠、防犯カメラやセンサーライトの設置といった具体策を記した。

県は市町にも協力を促している。北関東に近接する12市町村に対し、公用車が農場周辺を通行する際に不審者がいないか注意してもらうよう要請した。不審点があれば警察などに連絡してもらう。

部外者が畜舎に侵入すると、靴などに付着したウイルスが原因で家畜に感染症の被害が出る恐れもある。群馬県では9月に豚熱(CSF)の感染が確認されたが、埼玉県内でも2019年度に6農場で約7600頭が殺処分された。「敷地内に消毒用の消石灰を散布すると、侵入者の足跡が残るなど防犯上も有効だ」(担当者)という。

盗難は果樹農園でも発生している。県農業支援課によると、8月下旬から9月上旬までに神川町、上里町、久喜市、白岡市で計9件、約4400キログラム(220万円相当)の梨の盗難が明らかになっている。県内限定で生産される「彩玉」や「豊水」などが盗まれた。

これを受け、県は神川町と上里町の生産者ら16人を集めて情報交換会を開催。盗難防止を啓発するパンフレットを使い、収穫物を放置しないことや脚立などの器具を片付けることを改めて呼びかけた。

秩父農林振興センターでは同地域のぶどう農家約50人に対して対策などをまとめたA4判のチラシを作製した。9~10月には高級品種のシャインマスカットが収穫期を迎えるため、警戒感が強まっている。

埼玉県内の畜産農家数は2019年2月時点で約500戸、果実を栽培しているのは約3000戸ある。さいたま市の農園では過去に果実を盗まれた教訓を踏まえ、監視カメラやセンサーを設置したり金属製フェンスを補強したりした。果実農家にとって秋は収穫の季節だが、今年は盗難対策を真剣に検討する必要に迫られそうだ。

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