NHK会長、ネット事業費「青天井でない」 批判受け
NHKの前田晃伸会長は1日の定例会見で、インターネットを活用した業務について「青天井でやりたいということではない」と話した。NHKはネット事業費を年間受信料収入の2.5%以内とするルールをなくす方針を示していた。放送と通信の融合が進み民放もネット同時配信を始める中、NHK肥大化への懸念の声が上がっていた。
NHKは9月に出したネット業務の実施基準素案で、事業費上限を定める記述をやめ各年で必要費用を中期経営計画に記すとした。前田会長は「ネット業務を抑制的に行う。(どんな業務にどれだけお金をかけるか)絶対額で検証した方がわかりやすい」と説明した。
ネット事業費の上限撤廃に民放は批判的だ。日本民間放送連盟の大久保好男会長は「テレビにひも付く受信料を放送以外に使うことに一定の制約は当然」と強調する。
NHKの前田会長は「民放の邪魔はしない」とする一方「放送と通信の融合が進む中で日本は遅れている」と語った。ネット同時配信は英公共放送のBBCが2008年に開始。日本はNHKが今春始め、日本テレビ放送網が10月から試行する段階だ。米国では動画配信勢がテレビを脅かす。
値下げを求める声が強い受信料では「下げる原資がどれくらいあるか見えるようにしたい」と述べた。剰余金の一部を受信料引き下げのために積み立てるしくみを、来年1月に公表予定の2021年度からの中期経営計画に盛り込む方針を示した。