米航空の雇用支援が期限切れ 人員削減巡り瀬戸際攻防

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2020/10/1 14:00 (2020/10/2 5:06更新)
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アメリカン航空は1日から強制的な人員削減に踏み切る方針だ(ワシントン)=ロイター

アメリカン航空は1日から強制的な人員削減に踏み切る方針だ(ワシントン)=ロイター

【ニューヨーク=大島有美子】米政府による航空会社大手への雇用支援が9月30日に期限を迎えた。アメリカン航空やユナイテッド航空は1日以降、政府支援の延長がなければ、合計3万人を超える人員削減に踏み切る方針だ。米議会では航空会社の雇用維持策も含む追加経済対策の協議を続けており、瀬戸際の攻防になっている。

「我々はあす難しいプロセスに着手する」。30日夜、アメリカンのダグ・パーカー最高経営責任者(CEO)は社内通知を出し、1万9千人の人員削減を改めて通告した。ムニューシン米財務長官から同日、米議会の追加経済対策の協議が「数日内に合意の可能性がある」と説明されたことも明らかにした。追加支援が決まれば「削減を見直し、従業員を呼び戻す」とした。来年3月までの半年間の延長が有力な案として浮上する。

ユナイテッドのスコット・カービーCEOも同日夜、人員削減を進めるものの、政府支援の延長が数日内にあれば「見直す用意がある」との通知を従業員に送った。

米政府は3月末、新型コロナウイルスによる旅客需要の蒸発を受け、航空会社に対して総額500億ドル(5兆2700億円)の支援を決めた。雇用向けが250億ドルで、条件として9月30日まで従業員の強制的な解雇や休職などを禁じた。

航空需要は当初の予想を超えて低迷しており、アメリカンは1万9千人、ユナイテッドは1万2千人超、それぞれ10月1日以降に削減する方針を表明した。大手3社で唯一、デルタ航空が大規模な人員削減を回避したものの、すでに1万7千人が自主退職などで会社を離れた。

期限切れが近づくにつれ、航空業界は労使そろって、米議会に支援延長に向けた圧力を強めた。9月17日にはアメリカンやサウスウエスト航空などのCEOがホワイトハウスを訪れ、メドウズ大統領首席補佐官と面会した。「30日の23時59分まで戦おう」。ユナイテッドの労働組合は削減対象となる従業員に連日、ツイッターで議員にメッセージを送るよう促した。

米議会は航空会社への支援について超党派で一致し、トランプ米大統領による大統領令の発令も一時検討された。民主党が30日にまとめた対策案にも航空会社の雇用維持策が含まれる。ただ経済対策自体の合意が難航し、案が出ては立ち消えた。アメリカンのパーカーCEOは27日の米CBSのインタビューで「我々に必要なのは法案ではなく、法律だ」と述べた。

国際航空運送協会(IATA)は29日、2020年の世界の航空需要が前年に比べ66%減少する見通しを発表した。7月時点の予測より下方修正した。支援延長が決まり当面の雇用をつなぎ留めても、長期的な視点で人員削減は避けられないとの見方も出ている。

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