東証「バックアップへ切り替えできず」 機器故障が原因

東京証券取引所の全銘柄の売買終日停止に至った1日のシステム障害について、東証は同日、機器に障害が発生し、バックアップへの切り替えも正常に行われなかったことが原因と発表した。不具合のある機器は交換する予定。「明日以降、正常な売買ができるよう対応している」という。詳細は同日夕に開く予定の記者会見で東証の宮原幸一郎社長らが明らかにする見通しだ。
東証は同日中のシステム復旧と取引再開の可能性をさぐっていたが、「原因が特定できて、それが解消される見通しが立ったとしても、円滑に売買を再開するのは難しい」(東証関係者)と判断した。
東証は2010年に高速取引システム「アローヘッド」を導入した。その中核をなす売買約定の部分に不具合はないが、株価などの情報を配信する「相場報道システム」の部分に故障が発生した。
相場報道システムをめぐっては、12年2月に情報配信するサーバーの機器の故障で取引停止になったことがある。
東証では18年10月にもシステム障害が発生し、一部の証券会社で取引ができない事態が発生した。メリルリンチ日本証券(当時)を通じて大量のデータが外部のHFT(高速取引業者)から送られたためだ。
日本では米国などと異なり、現物株の取引所取引の約9割を東証が担っており、東証での取引が止まると資本市場の機能が事実上ストップしてしまう。改めて東証の一極集中のリスクがあらわになった形。市場運営者としての東証の責任は重く、丁寧な説明が求められる。

東京証券取引所は2020年10月1日、システム障害を受けて全銘柄の取引を終日取りやめました。売買が終日停止されたのは1999年の取引のシステム化以降で初めてでした。この問題に関する最新ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。