不正送金、3倍5億円超 警察庁1~6月統計

社会・くらし
2020/10/1 12:40
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今年1~6月に国内で発生したインターネットバンキングの不正送金被害は前年同期比3倍の約5億1200万円だったことが1日、警察庁のまとめで分かった。被害件数は前年比4.8倍の885件。19年下半期(1689件)と比べ、減少傾向にあるものの、依然として高水準にある。

金融機関になりすましたメールや、宅配事業者からの荷物の配達連絡を装ったショートメッセージサービス(SMS)などでフィッシングサイトへ誘導し、IDやパスワードなどを盗み取られる手口が目立つという。

警察庁によると、不正送金被害を受けた個人口座865件のうち5割は、セキュリティー対策として1回の利用ごとに使い捨ての「ワンタイムパスワード」を利用していたにもかかわらず、突破されていた。預金者になりすまして銀行の公式アプリを悪用し、預金を引き出したり、別の口座へ送金したりされる被害もあった。

企業や研究機関の重要情報を狙い、ウイルスを仕込んだメールを送りつける「標的型メール攻撃」は前年同期比48%増の3978件で、過去最多だった2018年(6740件)のペースを上回った。

標的型メールのほとんどが、同じ文面やウイルスが10カ所以上に送られる「ばらまき型」。外部に公開されていない個人アドレスなどに送られるなど、例年とほぼ同様の傾向がみられた。一方で、ウイルスを仕込んだ添付ファイルの形式は、前年同期に比べワードが全体の1割から6割に上昇し、圧縮ファイルが8割から3割に下落した。

メールに仕込まれたマルウエア(悪意あるプログラム)は、「Emotet(エモテット)」と呼ばれるウイルスが目立った。ワードファイルに仕込まれるエモテットは、感染した端末から偽メールを発信して連鎖的に拡散する仕組み。9月に入ってからも、国内で被害が拡大した19年を上回る勢いで確認例が増えている。

コロナ渦に乗じたサイバー攻撃も見られた。海外で相次いでいる医療機関に対する被害は確認されなかったものの、保健所をかたり「新型コロナに関する通知が発出された」という文面のウイルス付きのメールが企業に送りつけられるケースがあったという。

新型コロナの感染拡大に便乗した詐欺や不審メールなどサイバー犯罪が疑われる事案は608件あった。半数近くがマスクをネットで注文したのに商品が届かないといった詐欺事案(286件)。「給付金を送るので記載のURLから申請するように」といった不審なメールやサイトについても115件の事例が報告された。

警察庁幹部は「標的型メールは人間の心理的な隙を突く攻撃手法で、新型コロナが収束するまでは今後も同様の手口が続く可能性がある」と指摘。「攻撃を完全に防ぐことは難しく、最新の攻撃動向の把握とともに、サイバーセキュリティー意識の向上など地道な対策が必要だ」と話す。

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