ワイヤーカード現地法人に業務停止命令 シンガポール
【シンガポール=中野貴司】シンガポール金融通貨庁(MAS)は30日、不正会計問題で破産申請した独ワイヤーカードの現地法人に業務停止命令を出したと発表した。10月14日までに全ての顧客に預かった資金を返還するよう命じた。

ワイヤーカードはシンガポールで、主に小売業者などの決済の処理やプリペイドカードの発行支援などを手がけてきた。MASは同社から決済の処理を継続できないとの通知を受け、公共の利益のために顧客への即時の返金を命じる必要があると判断した。ワイヤーカードの決済サービスを使ってきた企業には、速やかに別の金融業者に切り替えるよう促す。
欧州を代表するフィンテックだったワイヤーカードに対しては、ドイツの検察当局だけでなく、米司法当局も調査に乗り出したと報じられている。シンガポールも不透明な取引が進められた舞台となった可能性があり、MASは破産申請によって顧客の資産が影響を受けないかを監視してきた。