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経済再生 バイデン氏「企業は増税」 トランプ氏「雇用急回復」

「すでに1000万人が職場に戻った。過去に例のない雇用回復だ」。トランプ氏は経済再開で景気がV字回復を遂げると強調した。失業率は4月の14%台から8%台まで下がり、失業者もピークの2310万人から1360万人まで減った。それでも失業率は危機前の3%台には遠く、雇用再生が最大の争点だ。

第1回テレビ討論会で発言する民主党候補のバイデン前米副大統領(29日、米オハイオ州)=AP

バイデン氏は「うまくやっているのは億万長者だけだ」とトランプ氏に強く反論した。米連邦準備理事会(FRB)の調査では、3月に年収4万ドル以下の家計は4割が職を失い、雇用危機は低所得層に集中する。

大統領選第1回候補者討論会で力説するトランプ米大統領(29日、米オハイオ州)=AP

株式市場はいち早く回復したが、米家計が保有する株式と投資信託の9割弱は上位10%の高所得層が独占する。バイデン氏は「コロナ危機は富裕層と低所得層の経済格差を一段と広げた」と批判する。

バイデン氏は米国製品を連邦政府が買い入れる「バイ・アメリカン」や再生エネルギーなどへの投資で「700万人の雇用を生み出す」と主張した。

ただ、同氏の経済再生プランは10年間で3兆ドルを超す大増税を伴う。トランプ氏は「彼は社会主義者だ」とのレッテルを貼り、「バイデン氏が大統領になれば、経済恐慌に突入する。米国に進出した企業の半数が去っていくだろう」と有権者の不安を強くあおってみせた。

トランプ氏自身は1期目に同1.5兆ドルの大減税を打ち出し、2期目も年1兆ドルもの税収がある「給与税」の減免などを公約する。それでもトランプ氏は討論会で減税プランをアピールできなかった。所得税をほとんど払っていないと報じられたためで、同氏の納税問題は「大型減税で大企業と富裕層だけが潤っている」という格差批判に火をつけた。

バイデン氏は「大手企業500社のうち、91社は法人税を全く負担していない」と、米税制経済研究所の試算を引用して指摘した。「連邦法人税率は21%から28%に引き上げる」と、企業や富裕層への増税を再び強調した。

「トランプ氏の貿易交渉は不発だ。対中赤字は一段と増えている」。バイデン氏はトランプ氏の関税政策も強く批判した。

ただ、実際には19年の対中貿易赤字は前年比17.6%も減った。むしろオバマ政権下での8年間で対中赤字は30%近くも増加し、有権者に反・自由貿易の機運を植え付けるきっかけとなった。

米中の経済摩擦は、単純な貿易不均衡からハイテク分野の覇権争いにまで発展している。中国が経済規模だけでなく技術力でも米国を急激に追い上げているためだが、両氏の29日の討論はそうした米中対立の本質論は素通りして終わった。

(ワシントン=河浪武史)

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