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4000万人が投資する時代 自分に合うスタイル考えよう

投資とどう向き合うか(1)

10月4日は「投資の日」。今月は投資を考えてみよう

10月4日は「投資の日」だそうです。昨日終わってしまいましたが、これにちなんで今月のテーマは「投資と向き合う」としてみたいと思います。

実は会社員の1000万人以上はすでに投資と向き合う時代となっている、と聞いたらあなたはどう感じるでしょうか。

~20年かけて日本に誕生 1000万人の積立投資口座~

かつて投資といえば、富裕層や高齢者が行うものだとみなされていました。現役世代の会社員は、投資の勧誘を受けるターゲットから外されていました。

しかし2000年に入って以降、大きな変化が生じました。実は投資を行う現役世代が1000万人以上も誕生したのです。

大きな変化の一つは01年10月に施行された確定拠出年金制度(DC)のスタートです。これは退職金・企業年金制度の一部として個人が資産運用を自己責任で行うもので、米国の401(k)プランを参考に導入されました。企業型DCには今では約750万人が加入しています。

米国のもう一つの老後資産形成の柱であるIRA制度に近いのはiDeCo(個人型確定拠出年金)です。こちらも現在165万人を超えています。確定拠出年金制度は現行法では原則60歳までしか加入できないので文字通り「現役世代の資産形成制度」です。

もう一つ、NISA(少額投資非課税制度)も若い世代に大きな変化をもたらしました。金融庁の資料によれば、一般NISAとつみたてNISAは1400万人以上が利用していて、20~50歳代の利用者は730万、ほぼ半分を占めます。

確定拠出年金には「投資をまったくしていない人」がいますし、NISAには「口座はあるが投資はしていない人」がいます。また「確定拠出年金もNISAも利用している人」の重複もありますが、単純合計なら1600万強、どんなに少なく見積もっても1000万人以上が何らかの投資をしていると考えられます。

これは21世紀に入ってから起こった変化です。よく「貯蓄から投資へ」は掛け声倒れだ、などといわれますが、実は着実に大きな変化が起きているのです。

~投資口座はだれでも簡単に開設できる~

今まで投資のハードルが高かった理由の一つは、証券口座を開設するというのが負担であったことです。そもそも「口座開設」というアクションが必要です。

企業型DCを実施している企業に勤めたら、基本的にDCに加入します。半強制的な仕組みであり、「やりたい人だけやりましょう」とか「申込書を書いた人だけが対象」のようにしてしまうと利用者は増えません。750万の口座はこうして誕生しました。

NISAをスタートする際に必要となる証券総合口座は、自分で開設手続きが必要になりますが、税制優遇のメリットがPRされたことで普及が進みました。口座開設の最初のプロセスは、今ではスマホで免許証やマイナンバーカードを撮影すれば完了させられるほど負担が軽減しています。

iDeCoも本人確認手続きを簡素化し、より加入しやすくなるよう取り組みが加速しています。

実は、あなたの学生時代の友人も、5人に1人くらいはDCの口座をもって投資をしています。あなたの隣で働いている同僚も、実はNISA口座で投資をしているかもしれません。

~スタイルは自分で選ぶ 「投機」か「投資」か~

投資が国民に普及していく中で、そのスタイルは個人が自由に決められることが大事です。一方で、過度に投機的な手法を標準的な投資手法であると誤解している人も少なくありません。

例えば外国為替証拠金取引(FX)を、個人が手軽にできる投資デビューの選択肢と考えている人がいます。しかし極めてリスクの高い取引方法であり、個人が中長期的に資産形成を行う運用方法としては向いていません。為替レートは経済成長に伴って増えていくものではありませんし、高いレバレッジをかけた取引は全損のリスクを常に伴います。

デイトレード、つまり当日中に購入と売却をセットで行うような株式投資が投資の基本であると考えている人も多いようです。何枚ものモニターに銘柄情報が常に明滅し、プログラムを駆使しながら一瞬にして「買いと売り」を繰り返すようなイメージです。しかしこれはリスクが高いだけではなく、普通に働く会社員ができることではありません。

投資と向き合うにあたっては、まずは「短期的な値動きに依存する投機的なスタイル」なのか、「中長期的な経済成長に伴うリターンを獲得する投資スタイル」なのかを自分の中で考えておきたいものです。

そして、できれば「投機」ではなく「投資」を考えてほしいと思います。

~投資4000万人時代に必要な「長期積立分散」スキル~

資産運用をする人は今後も増えていきます。だからこそ、「投機」ではなく「投資」が求められます。

DC口座はおそらく来年度には企業型とiDeCoを合算して1000万に達し、さらに増えていくことになるでしょう。つみたてNISAおよび一般NISAの口座も今以上の伸びをこれからも見せることになるでしょう。

私は「4000万の投資口座」が誕生する日はそう遠くないものと考えています。4000万というのは、民間企業で働く現役世代の人数です(19年3月末時点で厚生年金に加入しているのが3981万人)。

どんなに投資リテラシーが高まって、どんなにスマホの投資アプリが進化したとしても、4000万人がみんな投機的なトレードを行う時代が来るとは思えません。むしろ4000万人の誰もが実行可能な資産運用が必要になります。

車の運転をするように、誰もが投資をできるような時代に向けた環境整備が必要です。オートマチック車が普及したことで、運転免許取得のハードルが下がりイノベーションが起こりました。同様に、投資のハードルを下げる方法があるとしたら「長期・積立・分散」投資を活用することではないかと思います。

これを生かせば4000万人が仕事やプライベートに支障をきたさずに投資を行うことができるのです。そしてそれは誰でも実行可能であり、難しいこともありません。

次週は、なぜ「長期・積立・分散」の投資が働く世代に向いているのかを考えてみます。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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