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ロシア経済、信頼低下止まらず ルーブル半年ぶり安値

プーチン氏はテレビ会議で経済が回復に向かっていると強調した(10日、モスクワ郊外)=ロイター

【モスクワ=小川知世】金融市場でロシア経済への信頼が低下している。通貨ルーブルは29日、対ドルで約半年ぶりの安値を付けた。欧米による制裁強化と新型コロナウイルスの第2波に警戒感が広がっている。政府は早期の経済回復を強調するが、プーチン政権への逆風は強まっている。

通貨ルーブルは29日に一時、1ドル=79ルーブル台後半と3月末以来の水準となった。1ドル=62ルーブル弱だった年初から下落した。対ユーロでも2016年1月以来の安値だ。国債も売りが優勢で、ロシアの10年債利回りは価格下落により直近で6.3%程度と、5月中旬の5.4%台から上昇している。

通貨安に歯止めがかからない背景には制裁リスクへの警戒がある。ロシアの反体制派ナワリヌイ氏の毒殺未遂疑惑で同国は国際的な孤立を深めている。欧米は追加制裁も検討している。28日には欧州連合(EU)がウクライナを巡る対ロ制裁の対象を広げる方針で一致した。

8月以降、ロシアと関係が密接なベラルーシ情勢が悪化。旧ソ連のアルメニアとアゼルバイジャンでは9月27日から戦闘が続いており、ロシアを取り巻く国際情勢は不安定になっている。大手銀アルファバンクのチーフエコノミスト、ナタリア・オルロワ氏は「周辺地域の地政学的リスクも意識されている」と指摘する。

コロナの第2波の兆しも拍車をかけた。1日当たりの新規感染者は9月上旬から増加に転じ、28日には約3カ月半ぶりに8000人を超えた。モスクワ市は65歳以上の市民らに外出自粛を呼びかけている。制限措置が復活し、経済活動が再び低迷する懸念がある。

政権は経済が回復に向かっていると強調し、支持率の維持に懸命だ。プーチン大統領は10日、経済問題の会議で「ロシアGDP(国内総生産)の落ち込みは他の先進国より少ない」と語った。経済発展省は16日までに20年通年の実質GDP予想を4.8%減から3.9%減に見直した。

しかし市場はプーチン氏や経済発展省の見通しに懐疑的だ。ロシアが抱える政治リスクやコロナの状況に敏感になっている。オルロワ氏は「8月に景気回復が鈍化し、経済政策から先行きへの期待値も下がっている」とみる。

政権は国家目標に掲げる生活水準の改善に有効な手立てを示せていない。コロナに伴い子育て家庭や企業への支援などを実施したが、実質可処分所得は4~6月期に前年同期比8%減と四半期で1999年以来の記録的な落ち込みとなった。

21年末にコロナ前の水準(4.7%)への回復を目指す失業率も8月に6.4%と悪化が続いている。21年9月に予定する下院選に向けて、政権に対する国民の不満が膨らむ可能性がある。

歳入不足を補うための増税も懸念材料だ。政府は連邦予算で20年にGDP比4.4%、21年に同2.4%の財政赤字を見込む。18年は同2.6%、19年は同1.8%の財政黒字だった。資源の採掘で企業に課す鉱物採掘税の増税などを検討しており、コロナで悪化した企業活動をさらに低迷させるとの見方がある。

20年に及ぶプーチン体制下では経済の国家管理や資源輸出への依存が進んだ。クドリン会計検査院長官は21日、「ロシア経済はまだ国家に支配されている」と述べ、経済回復には国営企業の民営化といった改革に踏み込む必要があると訴えた。

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