二審も国と東電に賠償命令、原発事故訴訟で仙台高裁

東日本大震災10年へ
2020/9/30 14:21 (2020/9/30 22:35更新)
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東京電力福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)

東京電力福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)

東京電力福島第1原発事故時に住んでいた福島県、隣接する宮城、茨城、栃木3県で被災した約3650人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁(上田哲裁判長)は30日、国と東電に対し、原告3550人に計約10億1千万円を賠償するよう命じた。

約2900人への計約5億円の賠償を命じた一審・福島地裁判決より救済範囲を広げた。

全国約30件の集団訴訟で、国の責任に関する初めての高裁判断。仙台高裁は「東電を規制する立場の国が役割を果たさなかった」と指摘しており、各地の訴訟に影響を与える可能性がある。

上田裁判長は判決理由で、国と東電は原発に大津波が襲来することを予見でき、事故を回避し得たと判断。「国、東電とも経済的負担の大きさを恐れるあまり、津波の試算自体を避けようとした」と批判した。一審は国の責任が東電の半分にとどまると評価したのに対し、高裁は東電と同等に原告の損害全体に責任を負うべきだとした。

政府機関が2002年に公表した地震予測の「長期評価」に基づいて試算すれば、02年末の時点で海抜10メートルの敷地を超える津波の到来を予見できたと指摘。その後、津波による浸水の危険性が認識されるようになったとして、対策の先送りを許した国の権限不行使は06年末の時点で許容限度を逸脱し、違法だと認定した。

賠償については、国が基準を定めた中間指針を超える範囲と金額を認めた。事故が平穏な生活を侵害したとして、旧居住制限区域の住民に300万円、帰還困難区域に150万円、2600人以上の原告がいる自主的避難等対象区域に最大43万円を上乗せした。

これまで対象外だった福島県会津地方や栃木県の原告にも最大11万円を認めた一方で、宮城県の一部や茨城県の住民の賠償請求は退けられた。

原告側は空間放射線量を事故前の水準に戻す原状回復を訴えたが、高裁は一審同様に退けた。

17年10月の一審判決に対して原告、被告の双方が控訴。国は「津波は予見できず、事故を防ぐことも不可能だった」と反論し、東電は「国の指針に基づき賠償金を支払っている」と主張していた。〔共同〕

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