離脱協定の修正法案、英下院で可決 EUの出方焦点に

英EU離脱
ヨーロッパ
2020/9/30 5:17
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【ロンドン=中島裕介】英議会下院は29日夜(日本時間30日未明)、欧州連合(EU)との離脱協定の一部をほごにする法案を与党・保守党などの賛成多数で可決した。9月末までに法案を撤回するよう求めていたEUの反発は必至だ。ただ上院で議論が紛糾するなど成立までは時間がかかる可能性もあり、最大の課題である英・EUの将来関係交渉にすぐに打撃となるかは不透明だ。

離脱協定の一部を書き換えようとする英の行動に、EUは法的措置も検討している=AP

新法案では離脱協定に含まれる英領北アイルランドの国境問題に関する条項の一部を一方的に変更できる権限を英政府に与えている。国際約束のほごに反発する与党議員の意見に応え、英政府が離脱協定を破る行為をとる前に議会下院の承認を得ることを条件とした。

離脱協定の国境問題に関する条項は、過去の紛争の再発につながる恐れのある英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間に物理的な国境を設けないためのもの。これにより北アイルランドでは原則、EUの関税ルールに従うことなっているが、法案が成立すればEUの許可を得ずに協定の修正や破棄ができるようになる。

反発するEU側は欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長が28日の声明で「法案が現在の形で成立すれば、国際法上の重大な違反だ」と改めて指摘。9月末までに法案から違反箇所を削除するよう再度、英側に求めていた。法案の下院通過により、EUがこれまでに示唆していた法的措置に動く可能性もある。

目下の最大の課題である英・EUの自由貿易協定(FTA)など将来関係を巡る交渉が決裂すれば、離脱の移行期間が終わる2021年初めの経済活動に混乱が生じる。ただ英議会上院では与党が過半数を割っている上、与党内にも法案に難色を示す議員がいるため、法案の可決に時間がかかるとの見方もある。このためEUはひとまず英との将来関係交渉は継続するとの見方が有力だ。

ジョンソン政権は将来関係の交渉で合意できれば、法案を取り下げる姿勢を示している。このため法案は交渉でEUから良い条件を引き出すための揺さぶり戦術の一環とみられている。過去の悲惨な紛争を防ぐための国際約束を交渉の道具に使うような姿勢に、メイ前首相など歴代の英首相や米民主党などから批判が高まっている。

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