英、ベラルーシ大統領に制裁 「選挙結果認めず」
【ロンドン=中島裕介】英政府は29日、ベラルーシ大統領選での不正疑惑や同国でのデモ抗議者への人権侵害などを理由に、ルカシェンコ大統領ら8人に制裁を科したと発表した。カナダ政府と連携して制裁する。

8月の大統領選ではルカシェンコ氏の大勝と6選が発表されたが、不正選挙の疑惑を払拭できず国内で大規模な抗議デモが続いている。この間、治安当局が多数の市民を拘束したほか、9月23日には事前の告知なしに大統領の就任式を開いた。
ラーブ英外相は29日、制裁に合わせた声明で「暴力的で詐欺的な政権に制裁を科すことで明確なメッセージを送った。私たちは選挙の結果を受け入れない」と非難した。英政府はルカシェンコ政権が国際社会からの呼びかけに反して野党との対話を拒否し、抗議活動の参加者の拘束や拷問などを手掛けたとしている。
制裁対象の8人はルカシェンコ氏のほか同氏の側近、治安当局の幹部ら。英国への入国や銀行を通じた取引、同国で資産を持って利益を得ることなどが禁じられる。英国は欧州連合(EU)離脱をきっかけに、7月から国際的な人権侵害事件の加害者を対象にした独自の制裁の制度を導入している。