ロシアが北方領土で軍事演習 首脳の電話協議控え
【モスクワ=小川知世】ロシア軍の東部軍管区は29日、北方領土と千島列島で1500人以上が参加する軍事演習を開始したと発表した。菅義偉首相がロシアのプーチン大統領と初の電話協議を同日実施するのにあわせて、日本をけん制する狙いもあるとみられる。
インタファクス通信によると、同地域での軍事演習が発表されるのは10日に続き今月で2回目。今回の演習では敵の部隊による攻撃を想定し、無人航空機への対応などを訓練する。期間は明らかになっていない。
加藤勝信官房長官は29日の記者会見で、ロシア軍が北方領土を含む区域で軍事演習を始めたことについて外交ルートを通じて抗議したと明らかにした。「北方四島におけるロシア軍の軍備強化につながる。日本の立場と相いれず受け入れられない」と述べた。
軍事演習の開催は24日にロシアから通告があったと説明した。加藤氏は「北方領土はわが国が主権を有する島々で、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題だ」と指摘した。29日夜には菅義偉首相とプーチン大統領の初の電話協議を実施する見通しだ。