コモディティー投資の基礎知識 投資方法や税金は?
コモディティー投資入門(下)

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2020/10/8 2:00
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「コモディティー(金や原油、農産物などの実物資産)投資入門」の前半では、今コモディティー投資が注目される3つの理由を解説した。後半は、投資対象の種類や方法、税金など、コモディティー投資を始めるに当たり知っておきたい基礎知識を紹介する。

Q. コモディティー投資のメリットは?
A. インフレに強く、資産分散の効果も

コモディティーに投資するメリットとして、まず、インフレに強い点が挙げられる。インフレになると貨幣の価値が下がる一方、モノの値段はインフレ率に連動して上がる。将来のインフレリスクに備えて、資産の一部をコモディティーに投資しておくと安心だ。

また、コモディティーは分散効果が高い点もメリットだ。「タマゴは1つのカゴに盛るな」という格言があるように、長期の資産運用では、値動きの異なる資産を組み合わせて持つのがセオリーになる。コモディティーは株式や債券といった伝統的な資産と異なる値動きをする傾向があるため、それらと合わせて保有することで全体のリスクを軽減できる。

コモディティーの中でも、特に金は「有事の金」と呼ばれ、株式市場が歴史的なショック安に見舞われるような時に上昇する傾向がある。「守りの資産として、金を資産の一部に加える重要性が高まっている」(森田アソシエイツ代表の森田隆大さん)

コモディティー投資にはデメリットもある。まず、配当がない点。株式や債券は長期保有していると配当や利子が得られ、再投資による複利効果で資産を大きく増やすことができる。一方、金や原油などの実物資産は何も生まないので、配当などを得られない。どれだけ長期投資しても値上がりしなければ利益が出ないのは難点だ。

また、値動きが予想しにくい点もデメリットになる。株式の場合、PERや配当利回りなどの指標を基に投資できるが、コモディティーにはそうした指標がないため、妥当な価格水準を見極めることが難しい。自然災害や地政学リスクなど、予測が難しいマクロ環境に大きな影響を受ける点も、値動きを読みにくくしている。

さらに、商品市場は株式市場や債券市場と比べて規模が小さいため、値動きが大きくなりやすい点にも注意が必要だ。

Q. コモディティー投資の種類は?
A. 金やプラチナなど貴金属から、農産物やエネルギーまで様々

コモディティーには様々な種類がある。下の表は、国内で個人が取引できる代表的なコモディティーをまとめたものだ。

最も身近なのは金、銀、プラチナなどの貴金属。コインや宝飾品などの現物から、投信、ETF、商品先物まで、投資の手段も幅広い。

楽天証券経済研究所・コモディティアナリストの吉田哲さんは、「初心者は金から始めるのがベスト。プラチナも現物の積み立てができるので手掛けやすい」とアドバイスする。投資に慣れてきたら、「値動きの大きい銀やパラジウムで利益を狙うのもいい」と言う。

トウモロコシ、大豆、小豆、小麦、コーヒー、コメなどの農産物もコモディティーの一種だ。7月に東京商品取引所から大阪取引所に、とうもろこし、大豆、小豆の先物が移管され、株式先物などと合わせての取引がしやすくなった。ただ、「農産物の市場は流動性が乏しく、値動きが荒い。価格の変動要因も個人には分かりにくいため、初心者は手を出さないのが無難」(吉田さん)。あくまで上級者向けと考えた方がいいと言う。

原油やガソリン・灯油、電力などのエネルギー関連もコモディティーの一つ。特に北米市場で取引されるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は、株式投資をしている人にとってなじみが深いだろう。エネルギーでは原油がお薦め。流動性が高く、投資できる商品も多い。ただ値動きが大きいので、余裕資金で投資するのがいいだろう。

Q. コモディティー投資の方法は?
A. 金・プラチナは現物投資も。初心者は投信・ETFなどで

コモディティーに投資する方法として、まず、金やプラチナなどの貴金属を現物で保有する方法がある。まとまった資金がある人は、金貨や金地金(バー)、宝飾品などを購入すればいい。1/10オンスの金貨なら2万5000円程度で投資できる(9月下旬時点)。

少額投資の場合、純金やプラチナの積み立てがいい。大手ネット証券なら、月1000円から積み立て可能だ。積み立てた量が一定以上になると現物と交換もできる。

現物ではなく、コモディティーの価格に連動する金融商品に投資する手もある。初心者にお薦めなのは、投資信託やETF(上場投資信託)だ。投信の中には、金や原油などの価格に連動するものや、それらを複数組み合わせた商品指数に連動するものがある。こうした投信に、積み立てで長期投資するのが基本になる。

ETFは投信とよく似ているが、株式と同様に市場で売買できるのが特徴。投信と比べて保有コスト(信託報酬)が安い点がメリットで、長期投資なら投信よりETFの方が有利と言える。ただ、投信と違って、ETFは基本的に自動積み立てができないので、自分で定期的に売買する必要がある。

短期売買で利益を上げたい場合、商品先物やCFD(差金決済取引)が候補になる。どちらも、少ない自己資金で大きな取引ができる(レバレッジ取引)、買いだけでなく売りからも入れるといった点がメリットになる。取引コストも、他の投資手段に比べると格安だ。

ただし、レバレッジ取引は、失敗すると自己資金以上の損失を出すケースもある。日経225先物やFX(外国為替証拠金)取引などで、レバレッジ取引に慣れた上級者が活用するのがいいだろう。

この他、鉱山などを保有する企業の株式に投資する手もある。主に外国株が候補になるので、米国株などの取引口座が必要だ。

Q. 利益にかかる税金は?
A. 金現物の売却益は譲渡所得として課税される

コモディティー投資で利益が出た場合、投資の方法によって支払う税金が異なる。

金やプラチナの現物(コインや地金、積み立てなど)で売却益が出た場合、一般個人は原則として譲渡所得として課税される(取引形態によっては事業所得や雑所得になる)。年間50万円の特別控除を超えた部分が課税対象となり、他の所得と合算して総合課税される。

購入から5年超経過して売却した場合は、長期譲渡所得として課税額が半分になる。税制面から見ても、金やプラチナは長期投資が得になるわけだ。

コモディティー投信・ETFの税金は、一般的な投信やETFと同じ。譲渡所得として20.31 5%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の申告分離課税が適用される。その他の株式や投信、ETFなどと損益を通算することもできる。特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、確定申告も不要になる。

商品先物やCFDの利益は、雑所得として20.315%の申告分離課税が適用される。国内のその他のデリバティブ取引(日経225先物やくりっく365、くりっく株365、店頭FX、店頭CFDなど)と損益通算が可能だ。

(市田憲司)

[日経マネー2020年11月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年11月号 年末高の波に乗れ! 年後半の稼ぎ方&勝負株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/9/19)
価格 : 750円(税込み)

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