警官の接見交通侵害認める ノート破棄で名古屋地裁
愛知県警昭和署(名古屋市)の留置場で、弁護士が男性容疑者に差し入れたノートの中身を署員が見て、一部破棄を容疑者に指示したのは接見交通権などの侵害だとして、県に210万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、名古屋地裁であった。前田郁勝裁判長は「効率的な接見を阻害した」として侵害を認め、20万円の支払いを命じた。
判決によると、容疑者は英国籍で2019年11月6日、強盗致傷容疑で逮捕、昭和署に留置された。弁護士が同17日に接見した際、取り調べ内容を書き込むため容疑者に差し入れたノートの一部が破られているのに気付いた。
署員が容疑者に英語でのメモをやめさせ、英語部分の黒塗りや破棄を指示していた。弁護士が抗議したが、その後もノートの内容を見ていた。
前田裁判長は判決理由で、容疑者は日本語の理解が十分でなく、英語を使う必要があったと指摘。「留置場の規律を乱すなど特段の事情はなく、内容の検査や破棄の指示は違法」と認定し、接見交通権と秘密交通権の侵害に当たるとした。一方で「弁護士の業務に具体的な支障は生じていない」と述べた。
愛知県警は「判決内容を検討し、今後の対応を決める」としている。
〔共同〕