Moment Joon 居場所なきマイノリティーのストーリー
日本語ラップが映す社会(5) 大和田俊之(ポピュラー音楽研究者)
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現在、私はアメリカ東海岸に滞在している。この短期連載の依頼があったのは、5月末に白人警官によるジョージ・フロイド殺害事件が起き、全米でブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)運動が再燃して少し経(た)った頃である。制度的差別の根絶を訴える大規模な運動を目の当たりにし、私は、連載の最後はMoment Joon以外にあり得ないだろうと考えた。
初めてMomentのことを知ったのは10年前、大阪大...
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