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香港民主派、迷走強まる 大半が議会に残留 分断露呈

【香港=木原雄士】香港国家安全維持法の施行から30日で3カ月となるなか、窮地に陥った民主派が迷走している。選挙延期に反発して辞職を検討していた立法会(議会)議員14人は29日、世論調査の結果を踏まえて議会にとどまると表明した。辞職するのは若者らに支持される朱凱廸氏ら3人にとどまる見通しだ。民主派内の過激派と穏健派の分裂が鮮明になり、親中派を利する結果になっている。

立法会への残留を表明する民主派議員(29日、香港)=ロイター

「難しい決断だったが議会での戦線を守り続ける。民主派はまとまるべきだ」。民主党の胡志偉主席は29日の記者会見でこう強調した。

民間調査機関は2579人を対象に世論調査を実施した。このうち民主派支持者(739人)の47.1%が「議会にとどまるべきだ」と回答。「辞職すべきだ」(45.8%)をわずかに上回った。この結果を受けて、民主派24人のうち辞職か残留を検討していた15人中14人が残留を決めた。2人は結果にかかわらず辞職を決めていた。

辞職騒動のきっかけは9月6日に予定していた立法会選の1年延期だ。香港政府は新型コロナウイルス対策を理由に挙げたが「香港国家安全法への反発が強まる中、民主派の躍進を阻止する狙いがある」との見方が広がった。

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は8月に現職議員の任期延長を決めた。中国の決定に従うべきではないとする一部の若者らが審議ボイコットや辞職で抗議すべきだと主張した。

大半の民主派は残留を決めたが、かえって民主派内の分断や世論との温度差が目立つ結果になった。背景には民主化運動の停滞に不満を強める若者らの存在がある。

立法会は定数70議席のうち親中派が41議席の多数を握る。黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏ら若手の有力活動家らが選挙に立候補できる見通しも立たない。香港国家安全法によって抗議活動への締め付けも強まるばかりだ。中国との対決姿勢を鮮明にする若者らは存在感を発揮できない民主派議員に不満を強め、議会の外で国際社会に訴える路線に傾く。

民主派議員が29日に残留を表明すると、SNS(交流サイト)には「世論調査は単なるショーだ」「残留派はお金のために働いている」「もう民主派には投票しない」など怒りの書き込みが殺到した。

残留する民主派議員の毛孟静氏は「民主派を分断する北京の戦術は成功している。我々は連帯すべきだ」と訴える。

昨年のデモで逆風に立たされてきた親中派は民主派の路線対立を歓迎する。民主派が内紛にエネルギーを費やせば、親中派に批判の矛先が向きにくくなるためだ。親中派の梁振英・前行政長官は29日、フェイスブックに「民主派議員は全人代常務委の決定に従うという前例をつくった。お祝いしよう」と皮肉を込めて投稿した。

親中派は立法会の新たな会期が始まる10月以降、中国本土にいる有権者が立法会選に参加できるようにするルール変更や、抗議活動の責任追及などを進める考えだ。親中派のペースで議論が進む可能性がある。

民主派は抗議活動も封じられた状況が続く。香港警察は29日までに民主派団体が申請した中国の建国記念日にあたる10月1日の大規模デモを不許可にした。香港メディアによると、警察は6000人以上を動員して厳戒態勢を敷く。

SNSでは「月夕行動」として10月1日夕方から抗議が呼びかけられている。無許可のままデモが実施されれば、逮捕者が出る可能性がある。

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