デジタル医療スタートアップ、世界トップ10の顔ぶれは
デジタルヘルスは成長し続けている分野だ。2020年のデジタルヘルス企業の資金調達額は過去最高だった18年を超える勢いだ。投資家がこの分野の革新的なテクノロジーやサービスを支援しようとしていることが背景にある。新型コロナの世界的な大流行を受けて企業も投資家も公衆衛生に最も大きな関心を寄せているため、この分野への投資とイノベーションは一段と増えている。
CBインサイツのデータを活用し、世界の企業価値の高いデジタルヘルス企業上位10社を図に示した。今回の分析では、ベンチャーキャピタル(VC)による出資を受けている未上場の存続企業だけを対象にした。データは20年9月16日時点。

主なポイント
・企業価値トップ10社のうち3社は中国に拠点がある。企業価値55億ドルで首位の遠隔医療プラットフォーム、微医(ウィードクター、We Doctor)は急成長を遂げつつあるデジタルヘルス拠点の杭州市に拠点を置く。中国政府が09年に野心的な医療制度改革に着手して以降、中国は米国に次ぐ世界第2の規模を誇るデジタルヘルス市場に発展している。
・累積資金調達額が最も多いのは米ニューヨークに拠点を置くオスカーヘルス(Oscar Health)の15億ドルだ。同社はテクノロジーを活用して医療保険制度をシンプルにしようとしている。
・遺伝子データの取り込み、シークエンシング(ゲノム配列の読み取り)、解析などを含むゲノミクスのカテゴリーでは、米テンプス(Tempus)と米トゥエンティースリー・アンド・ミー(23andMe)が上位10社に入った。ゲノミクスは成長し続けており、この分野の企業の20年の資金調達額は過去最高を更新する見通しだ。
・デジタルヘルス企業の多くは医療保険のアクセスや運営の向上に取り組んでいる。こうした企業にはオスカーヘルスのほか、民間の高齢者向け医療保険「メディケア・アドバンテージ」を提供する米デボーテッドヘルス(Devoted Health)などがある。中国の共済保険プラットフォーム、水滴互助(Waterdrop)も含まれる。
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