埼玉県内の住宅地、4年ぶり下落 商業地は横ばい

埼玉
2020/9/29 16:50
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埼玉県の住宅地で地価上昇率がトップだった川口市並木元町付近

埼玉県の住宅地で地価上昇率がトップだった川口市並木元町付近

埼玉県が29日発表した2020年の基準地価(7月1日時点)は住宅地が平均0.3%値下がりし、4年ぶりに下落に転じた。19年まで6年連続で上昇した商業地も横ばいにとどまった。新型コロナウイルスの影響で土地の取得を手控える動きが広がり、土地取引が低調だったのが響いた。

住宅地、商業地とも調査対象地点の6割で地価が下がった。住宅地は19年の上昇地点が250だったのに対し、20年は107に激減した。商業地の上昇地点も79から34に減った。県土地水政策課の担当者は「地価は昨年まで上昇傾向だったが、コロナの影響で下落した」とみている。

市町村別の住宅地の平均変動率をみると、昨年は県内の27市町で上昇したが、今年は川口市、蕨市、さいたま市など県南部の6市のみだった。東京都に近い県南地域は地価の上昇傾向が続いていたが、コロナ禍で頭打ち感が出ている。人口減少と少子高齢化が進む県北部や秩父地域では以前から下落傾向が顕著だったが、さらに下落幅が拡大している。

住宅地の上昇率を見ると、上位5位を川口市が占めた。1位はJR川口駅から徒歩10分ほどの川口市並木元町で、上昇率は5.2%。交通アクセスに優れ、近くには大型ショッピングモールもあり利便性が高い。

20年は上昇率が鈍化したものの、東京都に隣接する川口市は都内通勤者向けの住宅の需要が根強く、住宅関連企業などによる「住みたい街ランキング」でも近年は上位に顔を出す。不動産鑑定士の三田和巳氏は「都内に比べれば地価は安く、都内を避けて周辺で住宅を探す人のニーズが高い」とみる。

県内の商業地で上昇率が最も高かったのは、JR浦和駅西口に近いさいたま市浦和区仲町の6.7%だった。昨年1位だった大宮駅西口のさいたま市大宮区桜木町は3.7%で3位。桜木町は1平方メートル252万円と価格は県内最高だった。「大宮駅周辺は商圏が狭く、駅に近いオフィス需要は依然と高い」(三田氏)とコロナ禍でも堅調さが目立つ。

三田氏は今後の地価動向について「新型コロナの影響がどこまで続くか不透明で、現時点では今後地価が上がる要因を考えにくい」と指摘する。コロナ禍が長期化した場合、地価は弱含みで推移する公算が大きい。

■工業地は7年連続で上昇

 新型コロナウイルスの影響で地価の下落地点が広がるなか、工業地は平均1・3%上昇と7年連続で値上がりした。国道16号や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)沿線を中心に物流系企業からの引き合いが強い。

県内工業地で上昇率が最も高かったのは春日部市南栄町(1平方メートルあたり6万円)、川島町かわじま(5万4000円)でそれぞれ3・4%値上がりした。

コロナ禍でネット通販や宅配便の需要増に弾みが付き、物流業界では設備投資が活発だ。アマゾンジャパンは10月までに埼玉県内の3カ所に拠点を新設するほか、地場の有力企業も物流拠点の整備を計画している。

埼玉県は大消費地の東京都に近く、高速道路網も発達し交通利便性は高い。沿線人口も多く「物流倉庫などの需要が高まっている」(埼玉県土地水政策課)という。

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