東アジア新興国の貧困層、新型コロナで増加も 世界銀行

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2020/9/29 12:14
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マスク姿で花を売る女性(2日、バンコク)=ロイター

マスク姿で花を売る女性(2日、バンコク)=ロイター

【シンガポール=中野貴司】世界銀行は29日に発表した東アジア・太平洋地域の新興国の最新の経済見通しの中で、同地域の貧困層が2020年に過去20年間で初めて、増加する可能性があると指摘した。新型コロナウイルスの感染拡大で失業者が増えたり、手取りの給与が減ったりしているためだ。

世銀は1日当たりの所得が5.5ドル(約580円)以下の人を貧困層と定義し、東アジア・太平洋地域の20カ国超の新興国の状況を分析した。新型コロナの発生前は同地域に住む約3300万人の人が、20年に貧困層から脱することができると予測していた。

だが、29日の見通しでは中国以外の東南アジアや太平洋の島しょ国で、貧困層が20年中に950万~1260万人増えると推計した。中国は最新の見通しでも貧困層が810万~960万人減ると見込むものの、悪化シナリオの場合、中国と中国以外の合計で貧困層は約450万人増える。

世銀は新型コロナが「継続的に減ってきた貧困層の数を反転させ、新たな貧困階級を創り出している」と指摘。政府の支援策が収入が減少した家計の4分の1にも行き渡っていない国があるとして、弱者救済策の重要性を強調した。個人を認証するID制度などが充実する国は支援策が届くのも早かったと説明し、島しょ国などに制度改善を促した。

世銀は同時に、東アジア・太平洋地域の新興国の20年の成長率見通しを0.9%と、半年前の2.1%から下方修正した。1967年以来、最も低い成長率となる。先進国よりも早く新型コロナの打撃から立ち直った中国は2%成長を維持するものの、それ以外の国が3.5%のマイナス成長に陥ることが響く。

観光に依存する国は特に景気悪化の度合いが大きく、タイは8.3%、フィジーは21.7%のマイナス成長に落ち込む見通しだ。新型コロナの感染拡大が続くフィリピンも6.9%の大幅なマイナス成長となる一方、比較的封じ込めに成功したベトナムは2.8%のプラス成長になると予測した。

新興国全体の21年の成長率は基本シナリオでは7.4%を見込むものの、悪化シナリオでは4.5%にとどまる。世銀の今回の予測の対象には、インドなど南アジアの国は含まれていない。

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