プラ容器の再利用 スタートアップと大手が連携 - 日本経済新聞
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プラ容器の再利用 スタートアップと大手が連携

ループ・ジャパンが循環網 味の素や資生堂など22社参加

調味料や化粧品などに使うプラスチック容器の再利用システムの構築で、味の素など大手企業22社とスタートアップ企業が連携する。再利用ができる容器に入れた商品をインターネットの専用サイトなどで販売。使用後の容器を回収して各社が再度使う仕組みだ。再利用を定着させ、プラごみの削減につなげる。

再利用の仕組み作りを担うスタートアップ、ループ・ジャパン(横浜市)が28日、繰り返し使える容器の循環システム「Loop(ループ)」の日本での本格運用を2021年3月に始めると発表した。

ループは廃棄物の再利用を行う米テラサイクルが運営するシステムだ。19年に米国とフランス、20年に英国で運用を開始した。

米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やコカ・コーラ、英蘭ユニリーバなどの消費財メーカーが参加し、扱う商品数は400を超える。日本での活動の担い手として子会社のループ・ジャパンを設立した。

参加メーカーは、洗って繰り返し使える容器を各社で準備する必要がある。対応した商品はループの電子商取引(EC)サイトのほか、イオンの一部店舗で購入できる。通販を利用する場合、回収費用込みの送料を払う必要がある。

使用後は、ループに参加する輸送業者が購入者の自宅に訪れ容器を回収する。イオンで買った客は、空いた容器をイオンに持参する。容器は洗浄後、各メーカーに戻され再び商品が充填される仕組みだ。ループ・ジャパンのアジア太平洋統括責任者のエリック・カワバタ氏は「戸別宅配の牛乳瓶の仕組みに近い」と説明する。

12月からはこの取り組みに先駆け、都内のオフィス街で繰り返し使える容器を使った弁当の販売を始める。1日35食限定とし、本格始動に向けた課題を洗い出す。

資生堂ユニ・チャームなどの化粧品・日用品大手のほか、味の素やキッコーマンなど食品大手など22社が参加を予定する。資生堂はスキンケアブランド「アクアレーベル」を、味の素は調味料を販売する計画だ。

参加企業はループ・ジャパンに手数料を支払う。再利用への対応で容器の強度などを高める必要がある。容器1つあたりの製造コストは現在の使い捨てタイプより高くなる場合が多いが、繰り返し使うことで「長期的には割安になる」(カワバタ氏)。

メーカーは容器のイメージなどで付加価値を付けられる。エステーは主力ブランド「消臭力」の無香ゼリータイプでガラス製容器を用いる。「使い捨て容器ではコスト的に難しかったが、ガラス製にすることでデザイン性を高められる」(同社)という。

世界的に廃プラによる環境汚染が問題となっており、日本政府は19年に「プラスチック資源循環戦略」をまとめ、使い捨てプラ容器の削減や再利用を基本原則とした。再利用の推進には、資源循環の仕組みを軌道に乗せる必要がある。

取り扱う商品数が増えなければ、配送や回収のコストが重荷となる。ループは「最初の2~3年は赤字になる」(カワバタ氏)と説明する。同社は今後も参加企業を募る方針だ。

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