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東北の基準地価、青森・岩手などコロナで下落率拡大

東北6県は29日、2020年7月1日時点の基準地価を発表した。宮城県の住宅地と商業地は8年連続で上昇したが、青森や岩手など5県はいずれも下落した。新型コロナウイルスの影響で不動産取引が停滞し、観光客の減少も響いた。雇用環境やオフィス需要の不透明感から下げ圧力が強まる可能性が出ている。

青森県の商業地は10年ぶりに下落幅が拡大した(青森市内)

青森、岩手、福島の3県は下落率が拡大した。青森県は住宅地、商業地ともに1.2%下落。最近は縮小傾向を続けてきた住宅地の下落幅が9年ぶりに拡大に転じた。上昇地点は昨年の17地点から5地点まで減った。商業地も10年ぶりに下落幅が拡大し、上昇地点はゼロだった。不動産鑑定士の南彰氏は「新型コロナの影響が出た。雇用不安や収入減への不安が取引件数の減少につながっている」と分析する。

岩手県は住宅地の下落率が1.1%で、前年より0.3ポイント拡大した。不動産鑑定士の城石雅彦氏は「3月くらいまでは上昇していたが、新型コロナ禍で4月以降横ばいになった」と指摘する。住宅地の上昇地点は54地点で前年より11地点減少した。岩手医科大付属病院の移転で整備が進んだ矢巾町周辺や昨年秋に完成したキオクシアの新工場が立地する北上市周辺などで上昇が目立った。

福島県の商業地の最高価格はJR郡山駅前の繁華街に位置する「郡山市中町」の25万4千円。36年連続で県内最高だが、前年に比べ2.3%減と下落に転じた。不動産鑑定士の佐藤栄一氏は「飲食や物販店が多い地域でコロナの影響を直接受けた」とみる。同市では19年10月の台風19号による浸水被害も影を落とす。中央工業団地内の地点の下落率は17.1%。工業地では全国最高で全用途でも2番目に高い。

一方、新型コロナの影響が比較的小さかったのが秋田、山形両県だ。秋田県の住宅地は1.8%下落と下落幅が0.2ポイント縮まった。47都道府県で唯一改善傾向がみられ、7年ぶりに下落率でみた最下位を脱した。秋田市の住宅地は0.1%と20年ぶりに上昇した。「利便性が高く住環境の良い地域では実需に基づいた地価回復が遅ればせながら広がり、コロナ禍の影響はそれほど出ていない」(不動産鑑定士の戸沢一喜氏)と分析する。

県全体の商業地は2.1%の下落で前年と同じだった。昨年26年ぶりに上昇に転じた秋田市は前年と同じ0.2%上昇。秋田駅周辺の再開発や幹線道路沿いの店舗需要の高まりが一因だ。ただ、新型コロナで客数の減少した角館や田沢湖といった観光地は下落幅がやや拡大し、「コロナが長引けば住宅地、商業地とも影響が出る」(不動産鑑定士の平野太郎氏)。

再開発に伴い秋田駅周辺の地価は上昇している

山形県は住宅地が0.7%の下落で、商業地は1.1%の下落となり、それぞれ前年と同じ水準だった。新型コロナの影響は明確にあらわれていないものの、「上昇幅が抑えられるといった要因があり、コロナがなければ下落幅は縮小が続いたはず」(月田真吾不動産鑑定士)としている。

住宅地は山形市とその周辺のミニ開発が盛んで、山形市が6年連続、天童市が3年連続で上昇した。山形市は商業地も0.8%上昇したが、上昇幅は縮小。マンション建設が中心で、百貨店大沼の閉店に県民ホールの移転も重なり、中心市街地の商業需要は乏しい。

月田氏は「現状は売れなくても価格を下げない状況」と説明する。リーマン・ショック時は2年後に反映したといい、「今後は価格を下げる動きが広がり、商業地や温泉地などから下落するのではないか」とみている。

宮城は8年連続上昇

宮城県は住宅地と商業地ともに8年連続で上昇を続けている。ただ住宅地の平均変動率は0.1%の上昇にとどまり、前年(0.9%)から縮まった。商業地も4.9%から3.0%上昇に縮小した。その中で新型コロナウイルスの影響を受けながらも宮城の地価上昇をけん引するのが仙台市だ。住宅地は3.7%、商業地は6.9%の上昇だった。

不動産鑑定士の千葉和俊氏は「市内の中心部で再開発の動きが活発化して国内外の投資マネーが集まっている」と話す。コロナ禍で不動産マーケットの動きは停滞していたが、個人や機関投資家らの取得意欲は引き続き旺盛だ。堅調な需要が地価上昇を支えている。

仙台市も再開発を後押しする。老朽化したビルの建て替えを促す「都心再構築プロジェクト」を2019年7月に立ち上げた。容積率の緩和や補助金の増額など100億円規模の支援策を用意。これを受け、百貨店の藤崎本館を含めた周辺エリアでは20棟程度の商業ビルを建て替える計画が進んでいる。商業施設やオフィスビル、ホテルなどを一体的に整備する方針だ。

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