新東北港湾ビジョンづくり本格化 経済の変化に対応

東日本大震災10年へ
2020/9/28 18:54
保存
共有
印刷
その他

東北地方整備局が2020年度末までの策定を目指す新たな「東北港湾ビジョン」づくりが本格化してきた。15年にできた現行ビジョンは10~15年後を視野に入れた港湾整備の指針だった。だが、社会情勢や経済状況の変化を踏まえ、改定に踏み切ることにした。

第2回新東北港湾ビジョン検討委員会は新たな「東北港湾ビジョン」の骨子案を示した(仙台市)

新東北港湾ビジョン検討委員会は16日、新たな「東北港湾ビジョン」の骨子案を示した。新ビジョンは21年度から中長期の港湾整備方針だ。検討委員長の東北工業大学の稲村肇名誉教授は「震災復興に主眼を置いていた現行のビジョンを、現在の社会・経済状況の変化に合わせたものに変える必要があった」と語った。

骨子案では復興道路との連携強化、建設が進む洋上風力発電に対応した港湾整備などが新たな論点になる。新型コロナウイルスの感染拡大前はクルーズ船の寄港も順調に伸びていた。今後、感染収束が見通せれば、整備が進む道路網との連携が期待される。

仙台市から青森県八戸市の沿岸部を縦断する三陸沿岸道路に加え、沿岸と内陸を結ぶ道路整備も進む。宮古盛岡横断道路は宮古港(岩手県宮古市)と盛岡市内、東北中央自動車道は相馬港(福島県相馬市、新地町)と福島市、その先の福島県二本松市や山形県米沢市などの観光地ともつながり、観光ルートとしての魅力向上を見込む。

検討委では、こうした新たな観光ルートを生かしたクルーズ船誘致に加え、コロナ禍を受け検疫体制の構築やクルーズ列車など2次交通の必要性について指摘が出た。

最近高まってきたニーズでは、洋上風力発電への対応がある。19年4月の再エネ海域利用法の施行後、秋田を中心に促進区域を指定、開発が進んだ。東北地方整備局によると、5月時点で全国の風力発電の最大出力の約4割を東北に立地する発電所が占める。

現在も大型の開発案件が計画されている。国土交通省は9月2日、洋上風力発電所を整備する場合の拠点となる港湾を初めて指定した。選んだ4港には秋田港(秋田市)と能代港(秋田県能代市)を含む。

洋上風力発電設備の大半は欧米などからの輸入が占める。このため、港湾から特殊な大型トレーラーで輸送するなど、物流網の整備が必要だ。

さらに港湾内で一定程度組み立てるため、大型設備の重量に堪えられる地盤の補強も欠かせない。風力発電設備の部品数は1万~2万点ともされ、保守・管理など関連産業の育成への期待もある。

検討委は今後、2回ほど委員会を開き、20年度内の新ビジョン策定を目指す。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]