インドネシア・ルピアに下落圧力 中銀独立性に懸念

東南アジア
2020/9/28 18:30
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【ジャカルタ=地曳航也】インドネシアの通貨ルピアが下落圧力にさらされている。中央銀行の独立性を低下させる与党による法改正の動きが表面化し、中銀が財政赤字穴埋めに利用される懸念が金融市場で強まっているためだ。

インドネシア中銀は通貨ルピアの供給量を増やして政府から国債を直接引き受け、財政を下支えする(3月)=ロイター

インドネシア中銀は16、17両日に開いた政策決定会合で政策金利を4%に据え置いた。ペリー総裁は会合後の記者会見で据え置きの理由を「為替レートの安定を維持する必要があった」と説明した。ルピアが9月に入り対米ドルで下落していることを念頭に置いた発言とみられる。

足元のルピア安は主に与党内の中銀法改正の動きが表面化したことに起因する。財務相を議長とし、経済担当相、中銀総裁らが加わった「通貨委員会」を設置し、中銀の政策の決定や執行への監督強化をめざす内容だ。地元メディアが動きを報じた1日から、中銀の独立性低下への懸念からルピアは対米ドルで弱含み、28日時点で1日に比べ2%以上下落している。

ジョコ大統領は「中銀の独立性は維持する」と法改正に否定的な姿勢を示し、与党案と距離を置く。ただ、市場ではジョコ氏の別の発言がルピア安の材料になっている。中銀が景気刺激策を含む政府のコロナ対策を支援するため財務省と合意した財政負担の分担が来年以降も続く可能性を示唆したからだ。

ルピアはコロナ感染拡大に伴う経済減速への警戒感から3月下旬に1998年のアジア通貨危機以降の最安値となる1ドル=1万6575ルピアまで急落した。その後、1万3870ルピアまで持ち直したが、直近は1万4千ルピア台後半で推移する。インドネシアは経常収支の赤字が続き、もともと通貨が売られやすい。そこに政治要因が加わった。

中銀は現在、コロナ対策として緊急避難的に政府が発行する国債を直接引き受けている。これを継続すれば、通貨発行による財政赤字の穴埋めが常態化してしまうことが危惧されている。

ルピア安は輸入価格の上昇を通じたインフレ要因となるほか、中銀の金融政策も縛る。利下げは景気刺激につながる一方で、投資先としての魅力低下で通貨に下落圧力がかかる。

インドネシア中銀は景気下支えのため今年に入りすでに4回の利下げに踏み切った。国内ではコロナの感染拡大が続く。経済の先行きに不透明感が強まっており、ペリー総裁は追加金融緩和もためらわない方針だ。一方でルピア安も意識せざるを得ない。

香港政府系金融機関のインベスト香港のヒルワン・ヨギ・ブラマンダ氏は首都ジャカルタ特別州がコロナ対策で9月に大規模な行動制限を厳格化したため景気は当初の見通しより悪化すると分析する。「政府が想定する成長率を達成できなければ、年末に1ドル=1万5千ルピアの水準に達するだろう」と予測する。

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