デジタル人民元、実証実験にカプセル自販機

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2020/9/30 2:00
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電子決済に対応したデルフィーノのカプセル自動販売機(中国河北省の雄安新区)

電子決済に対応したデルフィーノのカプセル自動販売機(中国河北省の雄安新区)

中国が進める「デジタル人民元」の実証実験に、アニメキャラクターなどの玩具を売る日本式のカプセル自動販売機が使われている。単価の低い商品の決済を高い頻度で繰り返すことが実験に適しているという。身近な技術を組み合わせてイノベーションを実現する中国らしい動きといえる。

「当初は(あらゆるモノがネットにつながる)IoT事業の一環として声がかかった」。デルフィーノ(上海市)の小鹿泰光董事長は振り返る。同社は中堅住宅会社の大倉(大阪市)傘下で、中国で日本式のカプセル自販機の製造や販売、運営を手掛けてきた。

2019年に国有通信大手の中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)と次世代通信規格「5G」を使うIoT事業で提携。スマートフォンによるQRコード決済に対応し、5Gでつながる「スマートカプセル自販機」事業を共同で始めた。

IoTに対応した「ガチャガチャ」で、重慶市など内陸都市の約1万カ所に設置。中国でも人気の「ワンピース」「名探偵コナン」などのカプセル玩具をバンダイから調達し、1個10~50元(約154~770円)で販売してきた。

デジタル人民元などの実証実験を進める雄安新区の共産党委員会

デジタル人民元などの実証実験を進める雄安新区の共産党委員会

これに中国人民銀行(中央銀行)が目を付けた。人民銀は5月、河北省の雄安新区、22年の北京冬季五輪の会場など5カ所でデジタル人民元の実証実験を進めていることを公表したが、デルフィーノなどはすべてにカプセル自販機を納入したという。

カプセル自販機が持つ「不特定多数の消費者が深く考えずに購入行動を繰り返す」(小鹿氏)特性が実験に向いているようだ。従来は「アリペイ」などのQRコード決済のみ対応してきたが、実験機には人民銀の要請で近距離無線通信規格「NFC」による決済機能も持たせた。

デジタル人民元は人民銀が14年から研究を進めているが、実際の使われ方は不明点が多い。ただ全く新しいシステムの導入ではなく、「中国で社会インフラ並みに普及したQRコード決済と何らかの形で共存させる」(帝京大学の露口洋介教授)とみられる。

人民銀がQRコードで決済するカプセル自販機を実験対象に選んだことは、専門家の見方と辻つまが合う。一方で、人民銀は接触型のクレジットカード決済で使われ始めたNFCとの共存も探っているようだ。

中国社会はやや未成熟な技術もまず導入し、徐々に改良していく手法でイノベーションを生み出してきた。人民銀がデジタル人民元で「スマートガチャガチャ」を採用したのも、同じ発想なのだろう。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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