欲しい暮らしを考える 「4象限でイメージ」のすすめ
20代からのマイホーム考(9)

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2020/10/5 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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「今、住まいを買うべきなのだろうか?」といった相談を受けることがよくあります。不動産会社などから紹介されたファイナンシャルプランナーに、家計に無理のない住宅ローン金額を確認しているものの、金融機関からお金を借りられるというだけで購入してもよいものか悩まれているのです。

■経済的には問題ないけれど

共働きの夫婦なら、かなりの金額を住宅ローンで調達できることもあり、住まいの購入について経済的には自由度が高まっている面もあります。しかし、住まいを所有するために夫婦で働き続け、本当は心の奥底で望んでいた暮らしが実現できなかったというのでは、住まいを購入する意味がなくなってしまいます。

こうした相談を受ける際、私は「お二人が欲しい暮らしとはどんなものですか? それは購入予定の住まいで実現できそうですか?」と問いかけるようにしています。言葉で説明することは難しいかもしれませんが、筆者の経験からすると、欲しい暮らしが頭の中で映像化できている人は、購入した後も後悔することなく、すてきに暮らしているように思えてならないからです。

しかし、欲しい暮らしとはどうイメージしたらよいのでしょうか?

■遊び感覚で欲しい暮らしを想像してみる

欲しい暮らしは人それぞれですし、明確にイメージできる人はそれほど多くないと思います。そこで筆者は、4象限で欲しい暮らしを考えることをお勧めしています。

縦軸の上向きに「金銭で測れない実現したい価値」、下向きに「金銭で測れる実現したい価値」、横軸は左向きに「現在」、右向きに「将来」を描きます。この4象限を紙に書いて、自分がイメージしている欲しい暮らしを付箋に書き出して、4象限のいずれかに貼り付けていきます。コツは頭に浮かんだ欲しい暮らしの映像をイメージしてから付箋に書き出すことです。

それは子育てのシーンかもしれませんし、家族で好きな料理を作り合いながら食事をしているシーンかもしれません。あるいは、趣味に没頭しているシーンかもしれませんし、地元の仲間と過ごしているシーンかもしれません。もしかしたら、思わぬ高値で自宅が売れたというシーンが思い浮かんだ人もいるかもしれません。

遊び感覚で構いませんので、何度かやってみると、欲しい暮らしを楽しくイメージできるようになると思います。そして全体を俯瞰(ふかん)しながら、本当に欲しい暮らしの優先順位を考えていけばよいのです。

夫婦でやってみると、意見がぶつかることもあるようですが、意見の食い違いが明らかになることはとても大事なことで、住まい選びがよい方向に進みやすくなります。

■金銭で測れない価値の大切さ

欲しい暮らしを4象限でイメージしてみると、一つのことに気づくと思います。それは、金銭で測れない価値に該当する欲しい暮らしのほうが、頭の中でイメージしやすいということです。おそらく、数字や文字よりも映像のほうが、人が喜びを感じる経路として直接的なものだからではないかと筆者は考えています。また、直接的なものだからこそ、心の奥底で求めている欲しい暮らしに結びついている可能性が高いと考えています。

金銭で測れる価値よりも、金銭で測れない価値のほうが高いと感じることが多いのは、こうしたことが理由なのかもしれません。ですから、素直に頭の中で映像化できる欲しい暮らしのイメージを大事にし、優先順位をつけていくとよいと思います。

■次の欲しい暮らしのイメージを育む

そうは言っても、「イメージしやすいものとそうでないものがある」といった声をいただくこともあります。例えば、子育てで楽しく暮らしているイメージはできるけれども、子供が独立した後、夫婦2人だけで暮らすイメージができないといったケースはよくあります。将来のことですから当然といえば当然です。

この場合、終の棲家(すみか)ではなく、子どもが独立した後は買い替えることを想定した住まい選びをするということになるかもしれません。もちろん、子育てをしながら、「子供が独立した後の欲しい暮らし」を心の中で育みながら、その住まいでそれを実現していくということも不可能ではありません。

結局、欲しい暮らしがイメージできていれば、それを実現するために人は行動するわけで、その行動の一つが住まいの購入という手段なのだと思います。だとすれば、住まいを購入して、まずは実現したい欲しい暮らしを手に入れたら、次の欲しい暮らしをゆっくり育みながら、具体的にイメージできるようになればよいのです。次の欲しい暮らしを実現する手段は、必ずしも住まいの購入でなくてもよいのですから。

田中歩(たなか・あゆみ)

1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画
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