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外野手の時代到来? 野球をよりスリリングに
編集委員 篠山正幸

2020/9/29 3:00
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13日のオリックス戦で本塁に好返球し、二走の勝ち越し生還を阻止するロッテのマーティン=共同

13日のオリックス戦で本塁に好返球し、二走の勝ち越し生還を阻止するロッテのマーティン=共同

ロッテや楽天の好調を支えているのが、レオネス・マーティンや、ステフェン・ロメロといった守れる外野手だ。打てさえすればいい、という過去の外国人選手観を変える選手たちが、プロ野球をよりスリリングなものにしつつある。

ロッテの右翼手、マーティンのビッグプレーが出たのは9月8日の日本ハム戦だった。四回2死一、二塁で西川遥輝の右前打を処理し、本塁へノーバウンドでストライクの送球。二塁から本塁を狙った大田泰示を刺した。

このプレーの伏線となったのが、直前の右犠飛の場面だ。1死満塁から清水優心がマーティンのところへ打ち上げた。このとき大田は三進を狙わず、二塁にとどまった。マーティンの「肩の抑止力」がものをいって、ロッテは3-2で逃げ切った。

「もともと守備の人なので」と井口資仁監督はこれくらいやって当たり前という表情だが、昨季途中から加入したマーティンの打力のみではない貢献が、今季の躍進をもたらしているのは間違いない。

肩自慢の人にありがちなミスで、2日の西武戦では三塁送球を、ワンバウンドでスタンドに入れてしまった。しかし、結果はともかく、めったにみられない大遠投は肩がプロとしての見せ場の一つであることを再認識させてくれた。

巨人の右翼手、石川慎吾がカットマンに返さず、三塁へダイレクトで送球したために、打者走者の進塁を許したことがあった。外野手としての基本を忘れたのは確かで、原辰徳監督の叱責を受けたのもやむなし。だが、遠投ショーも貴重なアトラクション。俺の肩を見ろ、というショーマンシップをベンチも温かい目で見てほしい。

巨人のパーラはダイヤモンドバックス時代に外野手でゴールドグラブ賞を2度獲得=共同

巨人のパーラはダイヤモンドバックス時代に外野手でゴールドグラブ賞を2度獲得=共同

今季、巨人に加入したヘラルド・パーラはダイヤモンドバックス時代に外野手で2度ゴールドグラブ賞に輝いている。今季の出場44試合は物足りないが、出れば美技を披露し、往時の片りんをのぞかせている。オリックスのアダム・ジョーンズも、オリオールズで4度ゴールドグラブ賞を獲得した名手だ。

これまで外国人の外野手はどちらかというと、打撃重視で、守備は捕れる球をちゃんと捕れればいい、という感があった。その風向きが変わってきたようだ。

今季オリックスから楽天に移籍したロメロも三拍子そろった選手。「守備もいい。ありがたい存在」と三木肇監督の評価も高い。

三木監督はロメロについて「走塁の判断にもたけている。普通は外国人が走者にいると作戦をたてるのは難しいが、うちはロメロも(ジャバリ)ブラッシュもサインを覚えてくれて、何でもやれる」と話している。外国人選手像の変化を示すコメントだ。

楽天のロメロは走攻守の三拍子がそろった外野手だ=共同

楽天のロメロは走攻守の三拍子がそろった外野手だ=共同

DeNAのタイラー・オースティンは内野手登録ながら主に外野を守り、脚力とフェンスを恐れないプレーをみせている。

万能型の外国人が、外野に現れ始めているという現象は外野守備を重視するメジャーの流れを考え合わせると、より興味深い。メジャーでは運動能力の高いアスリート系の選手を外野に配する傾向があるという。

内野守備は近年、データを駆使し、極端な守備隊形を取る方式が定着した。かつては縦横無尽の動きで「飛燕(ひえん)のごとき」と形容される名手を生んできた遊撃を含め、「君たちは決められたところに立っていればいいんだよ」ということになってきた。時には三塁や二塁の領域まで出張するような遊撃手のプレーは求められない。

そうした運動能力があるのなら、間を抜かれたら大けがになる外野に回した方が得策、という判断が背景にあるらしい。メジャー移籍を願望していた広島・菊池涼介は結局、日本に残った。今のメジャーに行っても、それこそ飛燕のごとき菊池涼の躍動はみられなかったかもしれず、日本残留は正解だったと思われる。

そこまで極端な守備のシフトが定着していない日本では、外野重視の流れになるかどうかは不透明。だが、外国人野手の獲得において、守備の"配点"が大きくなることにより、野球がよりスピーディーなものに進化していくのは間違いない。

外野守備が、常に目の離せないエンターテインメントになりうるのはすでにイチロー(オリックス、マリナーズなど)が示した通りだ。昔は「外野は引っ込んでいろ」というひどい言いようもあったものだが、どうやら死語。価値観の逆転がもたらされるのかどうか。打って守れる選手たちによる静かな革命の行方に注目したい。

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